ここ最近、首都圏のスーパーや量販店でよく見かけるようになった「とり野菜みそ」という鍋スープの素がある。ややレトロなイラストのパッケージが特徴で、人気漫画家・東村アキコ氏が出演するCMも放送中なので、見たことがある人もいるかもしれない。

まつやの「とり野菜みそ(200g)」(税別290円)
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 このとり野菜みそを作っているのは石川県かほく市の食品メーカー「まつや」。石川県で鍋といえば、とり野菜みその名がまず挙がるほど、県内では人気が高いのだという。

 筆者も早速購入し、鶏団子を入れて食べてみた。だが、これといったインパクトもなく、ごく普通のみそ味の鍋という印象で、「なぜこの味がこれほどまでにウケるのか」と、謎は深まるばかりだった。この“謎のみそ鍋”が県民に支持される理由、さらに首都圏で急激に勢力を伸ばしている理由を探った。

とり野菜みその「とり」は「鶏肉」ではない

 まつやの松本啓志社長によると、とり野菜みそのルーツは江戸時代までさかのぼる。廻船問屋を営んでいたまつやの初代当主が乗組員のために調合みそを考案。魚や野菜を入れて鍋で煮込んだところ、激務で不足しがちな野菜がたくさんとれると喜ばれたという。「その後、松本家の家庭の味として代々受け継がれてきた」(松本社長)。

 とり野菜みそというネーミングからてっきり鶏肉を使うみそ鍋かと思ったが、「とり」は鶏肉ではなく、野菜や栄養を「取る」という意味だという。1973年に松本社長の父親(現・松本啓治会長)が鍋の素として袋詰めしたものをスーパーなどに卸すようになったのがきっかけで、石川県全体に広まった。