「プロ選手」は景品表示法の枠外

――プロライセンスや「賞金」の扱いについては、景品表示法の観点からも様々な疑問の声が上がっています。

岡村氏: まず、プロとアマチュアの差となるライセンスについて説明しておくと、プロライセンスを受け、興行性のある公認大会に出場する時点でそのプレーヤーは“景品表示法の枠外”にいると認識されます。つまり、金額の多寡に関係なく「賞金」を得ることができるのです。
 重要なのはプロライセンスが可視化されたものであり、さらに公正であり標準化されたものであること。たとえばIPホルダーが場当たり的にプレーヤーの幾人かを「プロと認定して賞金を出す」と言ったとしても、それでは社会通念上、取引誘引性の有無といった点で疑問が生まれます。そうした意味でも、レギュレーションの可視化や標準化に加え、高度なパフォーマンスを発揮できる能力を持つと認められたプレーヤーがプロになると宣言し、必要書類にサインをするという枠組みやプロセスが大事になってきます。歴史のないeスポーツにおいては、それだけの条件をそろえることが、社会的に非常に重要な意味を持つわけです。

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――ネットではeスポーツの大会において、優勝者と準優勝者で獲得金額に差がつくことを問題視する意見も見られますが、その点はどうお考えでしょう。

岡村氏: 大会の結果に応じてプロに対して支払われるお金は「労務報酬」ではなく、あくまでも「賞金」です。先ほども言いましたように、プロとして認定されることで景品表示法の枠から外れることになるので、パフォーマンスの結果に応じて賞金にランクを付けることは問題ありません。
 景品表示法というのはかなり細かくかつ膨大な法律なので判断が難しいのですが、法令遵守の観点からも、IPホルダーであるゲームメーカーが賞金を設定した大会を開催するためには、プロライセンス制度が最も明快な解決策だったということです。そもそもIPホルダーではない第三者が賞金を出すのであれば、以前から景品表示法上はなんの問題もなかったわけですしね。
 こうした法律に関する部分は経済産業省、消費者庁と長い時間やり取りを行い、十分確認を重ねてまいりました。

――プロライセンス制度は全方位的に法律的な問題をクリアするための手段だったわけですね。

岡村氏: 可視化、標準化されたルールがあるからこそ、IPホルダーをはじめ興行を行う側も参加する側も、安心・安全に賞金を設定した大会やeスポーツという産業に携わることができるのです。あらゆる方面から完全に法律問題をクリアするという意味でも、そして社会的に認知されやすい方策という意味でも、プロライセンス制度は有効です。
 もう一つ、JOCへ加盟するとなると競技大会に向けた強化選手の育成が必要となります。大会ごとに何万人ものプレーヤーが参加する予選会を開くわけにもいきませんよね。高度なパフォーマンスを有する者としてJeSUから認定されたプロライセンス受給者は、強化育成選手の候補。つまり、ライセンスは育成選手のリストとしての意味も持っているわけです。