2018年8月、神戸・北野にオープンした「ピーナッツホテル」(関連記事「神戸の飲食店が『スヌーピー』でホテル事業に参入したワケ」)。手がけるのは、神戸を拠点に大阪、東京、横浜にカフェ、レストラン、パティスリーなどを約80店舗展開するポトマックだ。同社のように、飲食などの異業種からホテル事業に新規参入する企業が昨今、増えている。

2018年8月、神戸・北野に開業した日本初の「ピーナッツホテル」。関西と首都圏で飲食店を展開するポトマックが、自社ビルをリノベーションし、ホテル事業に参入した。国内外から注目されるキャラクターのブランド力で街の活性化も狙う
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 アパレル大手のストライプインターナショナルは、18年2月に渋谷にホテル併設型のグローバル旗艦店「ホテル コエ トーキョー」を出店。ワコールも18年4月に京町家を再生した宿泊施設「京の温所」の運営をスタートした。

 ほかにも、婚礼大手のテイクアンドギヴ・ニーズが運営する「トランクホテル」や、ワイアード カフェなどを運営するカフェ・カンパニーの「ワイアード ホテル アサクサ」など、アパレルや雑貨、カフェ・レストランを展開する企業からの参入が目立つ。

2018年2月、渋谷のパルコパート2跡地に開業した複合店舗「ホテルコエ トーキョー」。「アースミュージック&エコロジー」などを展開するストライプインターナショナルが手がける施設で、ホテルと本格的なレストランの運営は初めて
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滞在時間を延ばし、物販・飲食の客単価を上げるのが、ホテル参入の一番の狙い。コンテンツを増やすことで顧客との関係性も強められる。ホテル コエ トーキョーの客室は、洋服のサイズ表示と同じ「XL」「L」「M」「S」の4タイプで全10室
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カフェやレストランを企画運営するカフェ・カンパニーが、2017年4月1日、東京・浅草に開業したホテル「ワイアード ホテル アサクサ」。「AMBASSADORS」「1mile x 100mile」「C.A.F.E.」をキーワードに、ローカルコミュニティーホテルをめざしている
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 背景には、ホテルに求められる機能やニーズの多様化がある。単に宿泊するための施設ではなく、ユニークなコンセプトやデザイン、滞在中の体験を付加価値として提案するライフスタイル型ホテルが海外で続々と登場。従来のラグジュアリーホテルとも異なる考え方に共感する消費者が増えているからだ。

 異業種参入組にとっては、本業のブランドの世界観を表現することで既存ホテルとの差別化が図れ、本業とのシナジー効果も期待できる。飲食業やアパレル小売業の場合、接客サービスや空間演出力をホテル事業でも生かせ、親和性があることも参入を促す要因となっている。