東京・お台場の日本科学未来館で11月末に始まった企画展「MOVE 生きものになれる展 -動く図鑑の世界にとびこもう!-」(以下、MOVE 生きものになれる展)。DVD付き図鑑「講談社の動く図鑑MOVE」シリーズに登場する生きものになって、そのスゴ技を体感しようというものだ。バシリスクやペンギン、ダンゴムシといった生きものになれるというが、ダンゴムシになるとはいったいどういうことなのか? 体験してきた。

プレス向け内覧会には、この企画展の応援団を務める「ももくろちゃんZ」のメンバーが登場。水上歩行や求愛ダンスも披露してくれた
プレス向け内覧会には、この企画展の応援団を務める「ももくろちゃんZ」のメンバーが登場。水上歩行や求愛ダンスも披露してくれた

水の上は歩きやすい?

 会場に入ってまず目につくのが「ワンダー・ジャングル」。ここでは、水上を走ることができるという爬虫類、バシリスクのスゴ技を体験できる。靴を脱いで壇上に上がると、そこには水たまりが。よく見るとそれは透明で巨大なウォーターベッドのようなもので、その上を駆け抜けてバシリスク気分を味わおうという仕組みだ。

バシリスクの気持ちになれる「ワンダー・ジャングル」
バシリスクの気持ちになれる「ワンダー・ジャングル」
ぐにゃっとした“水上”を走る感覚が楽しい
ぐにゃっとした“水上”を走る感覚が楽しい

 早速チャレンジしてみたが、慎重にゆっくり進もうとするとブヨブヨする水に足を取られて想像以上に進みにくい。勢いよく駆け抜けるほうがいいとのことで、大人より子供の方がうまくできそうだ。波の上を揺れながら走っているような感触が面白い。

 展示の中には、動く図鑑MOVEのようにバシリスクがどんな生きものなのかの説明やスゴ技の紹介、クイズがあるので、体験すると同時に知識も深められる。ほかのゾーンにも同様の説明があって待ち時間も楽しめる。

「動く図鑑MOVE」のスタイルで、生きものの説明やスゴ技を紹介
「動く図鑑MOVE」のスタイルで、生きものの説明やスゴ技を紹介

ダンゴムシは癒やしの空間

 続いて向かったのが、ダンゴムシになれるという「スモール・ガーデン」。ここではダンゴムシになれるスーツを着て、丸まって落ち葉の中に潜ることができる。これがとても落ち着く。世間から遮断されて暗く狭く静かな闇の世界に包まれている感覚が心地良くて安心する。アリ役の人につついてもらうのも楽しい。このスーツ、市販したら売れる気がする。

ダンゴムシスーツを着てダンゴムシになる
ダンゴムシスーツを着てダンゴムシになる
丸まってアリから身を守るダンゴムシ気分を味わおう
丸まってアリから身を守るダンゴムシ気分を味わおう

なすすべなくサメに食べられる

 「サバイバル・オーシャン」では、ペンギンになれるスーツを着て、ペンギンのように滑り降りるというもの。その先には古代の巨大サメ、メガロドンが口を開けて待っていて、途中で滑るのをやめようと思っても止まれるわけもなく、なすすべなく食べられてしまう。口の中が少しリアルっぽく作ってあって不気味だ。これがサメに食べられるときのペンギンの気持ちなのか……とペンギンの大変さが身にしみる。滑り台は広いので、親子でいっしょに滑ると楽しいだろう。

滑り台でメガロドンに食べられてしまう
滑り台でメガロドンに食べられてしまう
ペンギンスーツを着たら記念撮影もしておきたい
ペンギンスーツを着たら記念撮影もしておきたい

動物のうんちはどんな匂いなのか?

 ほかにも、ライオンの立場になって“だるまさんがころんだ”の要領でシマウマを狙ったり、「ももくろちゃんZ」のメンバーと一緒に動物の求愛ダンスをしたり、ホエザルのように大声を出してみたり。生きもののニオイを嗅いでみるコーナーなどもあり、写真や動画で見るだけでなく、図鑑の世界を体感できるようになっている。難しいこと抜きで、親子で楽しめる企画展だ。中には、子供が好きそうなうんちコーナーもあり、作り物とは思えないリアルさに思わず引いてしまった。

やたらリアルな、うんちコーナー
やたらリアルな、うんちコーナー

 記念撮影をするなら、「生きものギア・センター」に行こう。手にはめて動かせるヤシガニのハサミや、背負えるモルフォチョウの羽などを身に着けられる。

羽を背負ってチョウになれる
羽を背負ってチョウになれる
角をつけて水牛気分に
角をつけて水牛気分に

 期間中の平日限定だが、リアルな恐竜が会場内を動き回る恐竜ショー「DINO-A-LIVE」も体験できる。出没するのは全長4.5メートルの肉食恐竜ラプトルで、フットワークの軽いキレのある動きで来場者の目の前を動き回ってくれる。にらまれて目が合ったりすると、作りものだと分かっていても怖い。登場スケジュールはウェブサイトに掲載されているので、事前に確認しておこう。

恐竜ショー「DINO-A-LIVE」が期間中の平日に1日3回のスケジュールで登場する
恐竜ショー「DINO-A-LIVE」が期間中の平日に1日3回のスケジュールで登場する
キレッキレの動きと鳴き声で、恐竜を目の前にしたときの恐怖感を味わわせてくれる
キレッキレの動きと鳴き声で、恐竜を目の前にしたときの恐怖感を味わわせてくれる

地球にはさまざまな生きものがいることを知ってほしい

 この企画展は、「講談社の動く図鑑MOVE」のコンテンツや世界観をベースとしたものだ。動く図鑑MOVEシリーズは、これまでの図鑑にはないような迫力ある写真やイラストを使い、さらに付属DVDの動画を組み合わせて躍動感を感じながら知識を身につけられるのが特徴のシリーズ。恐竜、植物、昆虫、鉄道、古代文明など広いジャンルをカバーし、シリーズ累計発行部数270万部というヒット書籍だ。企画展の図録も同シリーズのようなデザインになっている。

物販コーナーではシリーズの図鑑や、ここでしか買えないオリジナルグッズなどを購入できる。図録は図鑑のようなデザインで、生きものの進化が分かるゲーム付き。会場限定販売で税別2200円だ
物販コーナーではシリーズの図鑑や、ここでしか買えないオリジナルグッズなどを購入できる。図録は図鑑のようなデザインで、生きものの進化が分かるゲーム付き。会場限定販売で税別2200円だ

 本と動画による図鑑の世界を体感型の企画展示にしたことについて、日本科学未来館 展示企画開発課の宮原裕美氏は「砂漠や海、ジャングルといった地球各地をめぐりながらそこにいる特徴的な生きものを知り、地球にはさまざまな生きものがいることを知ってほしい。そのためにはVR(仮想現実)などではなく、体感してその生きものの気持ちになってみるのがいいと考えた」と語った。

 筆者はひたすら楽しんでしまったが、たとえばバシリスクのスゴ技に驚いたりダンゴムシの気分になると同時に、なぜそんな技が必要なのかなどを親子で考えると、生きものへの理解をよりいっそう深められそうだ。

 「MOVE 生きものになれる展」の開催期間は2018年4月8日まで。開館時間は10~17時(入場は閉館30分前まで)で、休館日は火曜日(一部開館する日あり)となっている。料金は3歳以下は無料、小人(4歳~小学生未満)が1000円(税込み、以下同)、中人(小学生~18歳以下)が1300円、大人(19歳以上)が1900円、シニア(65歳以上)が1700円となっている。

 前述の通り、恐竜ショー「DINO-A-LIVE」は登場日時が決まっているので、見たい人は公式サイトでスケジュールを確認しておこう。また、靴を脱いで体験するコーナーが多いので、動きやすい服装と脱ぎやすい靴で行くのがおすすめだ。

(文/湯浅英夫)

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