音楽ジャンルのクロスオーバーでお互い有意義な経験

――ちなみにオーケストラのメンバーはどういう方々ですか。

吉田 : 最初に賛同してくれたのは、もともと飲み仲間だったソリストのバイオリニスト・奥村愛さんです。レコーディングメンバーは全部で35人いて、年代的には30代ですかね。アレンジャーもすべて若い人たちで、一緒に育って行きたいという気持ちです。指揮の田中雄樹くんは、人に紹介されてKinKiのコンサートで振ってもらったんですが、クラシック界ではまだまだ新人の方だと思います。

――バンドメンバーはKinKiバンド(=堂本ファミリーバンド)でおなじみの面々もいますが、オーケストラは指揮者によって出来も大きく左右されるので、新人の方を抜てきするのは冒険だったのでは。

吉田 : そうですね。しかも田中くんはポップスはやったことがない、純クラシックの人だったんですよ。だから僕らのバンドと初めてやったKinKiのコンサートではいろいろカルチャーショックもあったようで、例えば、曲によってはクリックやカウントを聴きながらやるなんていうことは、彼にとってはあり得なかった。でも、セットリストの中では、そういうのがどうしても必要なパートもあるわけです。そこは彼なりに頑張ってくれて。で、2回3回やるうちに、KinKiの2人も「クリック外して指揮だけでやろうか」と言い出しましたし、なんかお互い有意義な経験になったと思いますね。

 

――KinKi Kidsのときは100人編成のオーケストラでしたが、セットリストのアクセントとしてやるならともかく、最初から最後までというのは正直、成立するんだろうかと思ってました。音響的な不安も含めて。それがどっこい、感動的な世界に仕上がっていて…。

吉田 : あの編成でドームでやるなんて、ないですもんね(笑)。僕たちのチームは音響の腕も自慢なんですが、あのときは匠(たくみ)の技が光ってましたね。何が評判良かったかって『Time』(2011年のシングル)。「あんなにいい曲だと思わなかった」って周りからすごく言われました(笑)。オーケストラアレンジでやって、曲の別な顔が浮き出てきた例ですね。オーケストラでのKinKi Kidsのコンサートは、チャンスがあるなら僕はまたやりたいです。