化粧品・トイレタリー業界で昨今湧き起こる技術革新競争――。2018年11月27日、花王は長年の研究による清潔・美・健康分野の技術発表を行った。同社によれば、製品ではなく技術段階での発表を行うのは業界内でも初めてのことだという。

 今回発表された技術は5つ。人工皮膚「Fine Fiber(ファイン ファイバー)技術」、皮膚状態を反映する遺伝子分析技術「RNA Monitoring(RNAモニタリング)」、毛髪メラニン色素の独自基礎研究から生まれたカラーリング剤「Created Color(クリエイティッド カラー)」、サステナブル原料の植物性油脂から転換した界面活性剤「Bio IOS(バイオIOS)」、再生プラスチックを100%活用する「Package RecyCreation(パッケージ リサイクリエーション)」だ。なかでも注目したいのは、ファイン ファイバー技術とRNAモニタリングだ。

 ファイン ファイバー技術は、専用装置から肌表面に噴射した化粧品用ポリマー溶液で形成する人工皮膚だ。化粧品製剤の微細膜を肌に密着させることで、「シワやシミなど肌の悩みを効果的に改善することが可能になる」(花王)。またRNAモニタリングは人間の顔の皮脂から固有のRNA[注1]情報を読み取る技術。現在の肌状態や病気の有無だけでなく、将来的な美容、健康に関する予測ができるという。「RNAモニタリングで、今後は健康診断がより身近になる」と同社は説明する。

小型の専用装置から肌表面に噴射して、極細繊維の「人工皮膚」を作る。軽くて軟らかく、まるで素肌のような感覚だ
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水を含ませたスポンジで表面を軽く押さえると、それまで白く見えていた人工皮膚がまるで肌に同化していくようだった
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[注1]リボ核酸。細胞の核や細胞質中に存在し、DNAとともに遺伝やタンパク質合成を支配する