現行の洗濯表示は「貿易の妨げ」になっていた!?

 そもそも、どのような経緯で新しい洗濯表示に改訂されることになったのだろうか。経済産業省によると、改正のきっかけは2005年にまで話がさかのぼるという。

 日本が加盟しているWTO(世界貿易機関)協定の一部に、「貿易の技術的障害に関する協定」というものがある。各国独自の規格をISOにそろえることで貿易の妨げにならないようにするという協定だが、これに基づいて日本の洗濯表示をISOに合わせる必要が出てきた。海外ブランドの商品を日本に輸出する場合、日本独自の洗濯表示に付け替える必要があったため、それが貿易相手国の負担となっていたからだ。

 しかし、表示の切り替えはスムーズには進まなかった。なぜなら、日本の洗濯表示ではおなじみの「干し方」についての記号がISOには存在しなかったからだ。

現行の洗濯表示の「干し方」は衣類の絵表示と漢字の組み合わせで、基本的に「つり干し」もしくは「平干し」という干し方を指示していた
新洗濯表示では現行の「干し方」が削除され、「自然乾燥」という項目に。「ぬれ干し」という取り扱いが加わり、現行の4種類の2倍になった

 欧米では洗濯物を自然乾燥させるという習慣がなく、タンブル乾燥が一般的。そのため、ISOに自然乾燥に関する項目を盛り込むよう、日本政府がWTOに提案するところから始めたという。2012年にISOが改正されると、それに基づいて2014年に新JIS記号、つまり新しい洗濯表示の記号が決まり、2016年の12月にようやく施行の運びとなったのだ。