2018年11月1日、月刊情報誌「日経トレンディ」が「2018年ヒット商品ベスト30」と「2019年ヒット予測ランキング」を発表した。ヒット商品ベスト30は2017年10月から2018年9月の期間に発売された商品・サービスについて、「売れ行き」「新規性」「影響力」の3要素からヒットの度合いを判定し、独自にランク付けしたもの。1987年の同誌創刊以来、毎年12月号で掲載してきた恒例企画だ。ランキングは以下の通り。
2018年のヒット人(にん)は?
ヒット商品の発表に先立ち、今年さまざまな分野で活躍した“2018年のヒット人(にん)”として、俳優の田中圭さんとアイドル・ファッションモデルの白石麻衣さんが登場した。
田中圭さんは、今年深夜ドラマとしては異例のヒットとなったドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で主人公の春田創一役を熱演。熱狂的なファンを数多く生み出した。現在は『獣になれない私たち』(日本テレビ系)への出演や、バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の名物企画「ゴチになります!」のレギュラーを務めるなど、多方面でファンを魅了している。
白石麻衣さんは、女性アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーとして活躍。2017年2月発売の写真集『白石麻衣写真集 パスポート』(講談社)がロングセラーを記録し、多数のCMに出演。今年発売した乃木坂46のメンバー同士が撮影したオフショット写真集『乃木撮<のぎさつ> VOL.01』(講談社)も、メンバー同士の仲のよさが感じられる写真の数々が人気を呼んで大ヒット中だ。
続いて、日経トレンディが来年ブレイク間違いなしと予想する「2019年の顔」として選んだのが、俳優の中村倫也さん。NHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』でヒロインが恋する朝井正人役を演じて人気を博すなど、俳優として活躍するだけでなく、インタビューや撮り下ろし写真を収めた作品集『童詩』(ワニブックス)がオリコン週間BOOKランキングで1位を獲得するなど、活動の幅を大きく広げている。来年は今年以上に活躍が期待されている。
2018年のヒット商品、1位は「安室奈美恵」
ヒット商品の1位に選ばれたのは平成の歌姫「安室奈美恵」さん。その引退劇は国民的なイベントになり、さまざまな旋風を巻き起こし、500億円超とも言われる経済効果を生みだした。1位に人物が入ることは珍しく、1999年の宇多田ヒカルさん以来のこと。
そのほか2018年のヒット商品ベスト30で注目されたのは、まず25位の「乃木坂46写真集」。メンバーの写真集がメガヒットを連発し、2018年上半期の売り上げで10位以内に5作品が入るほど。日経トレンディの佐藤央明編集長は「乃木坂46の“競い合わないアイドル”像が人気を呼んだ。メンバー全員の雰囲気がよく、見ていて応援したくなってくる」とその魅力を解説。
乃木坂46のメンバーである白石さんは「グループにとって大きいことで、本当にうれしい。メンバーの写真集が人気を呼ぶとみんな自分たちのことのようにうれしいし、雰囲気がいいんです」とグループの仲の良さを教えてくれた。
田中さんが注目したのは、8位の「ケーブル バイト」。スマホの充電ケーブルの接続部分が破損して断線するのを防ぐカバーで、かわいいキャラのデザインが人気を呼び、500万個売れた。
田中さんは「ファンの方がサメのデザインのものをプレゼントしてくれて、可愛くてずっと付けていました。でも、断線防止のためのものだとは、今、知りました」と衝撃の告白。中村さんがすかさず「断線防止のためのものなのに、歯が鋭いサメのデザインなのが面白いですね」と微妙にフォローして会場に笑いが起きていた。
中村さんが注目したのは7位の「aibo」。12年ぶりに復活した、ソニーのペットロボットだ。
中村さんは「ある日、事務所にいったらスタッフがいつの間にか飼っていたんです。カメラで撮影したり、甘えたり、自分から充電しに帰ったりととても賢い。スタッフには懐いているんですが……」と、自分にも懐いてほしい様子だった。
2019年、ヒット商品のトレンドは?
続いて「2019年ヒット予測ランキング」が発表された。これは、来年にかけて登場する商品、サービス、施設の中からヒットを予測したもの。売り上げだけでなく業界への影響、消費者へのインパクトなども考慮して総合的に評価している。
「2019年は、増税、元号が変わる、大型連休や臨時の連休があるなど、実は分かってることが多い年」という佐藤編集長が1位として挙げたのは「デカトロン&ワークマンプラス」。デカトロンはフランスのブランドで、ワークマンプラスは作業服専門店で知られる「ワークマン」のカジュアルブランド。どちらもコストパフォーマンスの高い機能性ウェアが魅力だ。低価格&高機能ウェアの市場はまだ未開拓であり、4000億円市場になるともいわれている。
佐藤編集長はデカトロンの軽量なナップザックをステージで紹介すると、3人に価格を予想してもらった。「当てにいきますよ」と宣言する田中さんは2900円、白石さんは3500円ぐらい、中村さんはすみずみまで確認して1900円と予想。しかし佐藤編集長の答えはなんと「350円」。あまりの安さにステージの3人を含めて会場からは驚きの声が上がった。
「2018年ヒット商品ベスト30」と「2019年ヒット予測ランキング」の詳しい内容は、11月2日発売の日経トレンディ12月号で紹介しているほか、11月28日、29日に開催する「日経クロストレンド EXPO 2018」の会場でも展示される。
(文/湯浅英夫、写真/中村宏)