ハロウィーンも終わり、クリスマスの飾り付けを見かけることも増えてきた。特にイベントは予定していなくても、ケーキだけは毎年買っているという人も多いのではないだろうか。ここ最近は小ぶりなサイズのケーキが売れる傾向にあり、一般的に4~6人用といわれている5号サイズだけではなく、一回り小さい4号サイズを展開するブランドも増えている。世帯数の減少により、食べきりサイズのケーキを求める人が増えているということだろう。
また、クリスマスケーキといえばイチゴを使ったデコレーションケーキや切り株をイメージしたブッシュ・ド・ノエル、チョコレートケーキなどが定番。ここ数年で「インスタ映え」を意識したのか、形もハート形や真四角、色もピンクなど華やかな商品も増えている。だが、ホテルや百貨店、駅ナカなどのクリスマスケーキを見ると、2018年はその「形」に共通する、あるトレンドが見えてきた。
伝統的な「お菓子の家」を現代風にアレンジ
今年のクリスマスケーキに共通しているのは、「家」をかたどったケーキが多いこと。家をかたどったケーキは一般的に「ヘクセンハウス」と呼ばれている。ドイツ語で「お菓子の家」という意味だ。
ヘクセンハウスはさまざまな作り方があるが、屋根や壁をショウガ入りのクッキーで作り、アイシングや粉砂糖などでデコレーションをほどこすのが一般的。欧州では定番のケーキで、日本でもクリスマスにこのケーキを定番商品として出している洋菓子店もある。
東京・丸の内のパレスホテル東京は、18年のクリスマスケーキとしてヘクセンハウスをラインアップしている。その理由を、同ホテルの担当者は「今年のクリスマスケーキ全体のテーマは『クラシック&モダン』。ヘクセンハウスは欧州で古くから作り続けられている人気の菓子だが、その伝統は守りながら、時代に合わせて進化したスイーツを目指した」と話す。ビスケットとチョコレートを使ったヘクセンハウスのなかに、さらにケーキを入れるという仕掛けをしているのが特徴だ。
「東京駅」がお菓子の家に
本店を原宿に構え、全国に店舗を展開する洋菓子メーカー「コロンバン」も18年のクリスマスケーキとしてヘクセンハウスを出している。だが、ポイントは家ではなく、東京駅駅舎をモチーフにしているという点だ。
東京駅グランスタ店限定商品として出している「グランスタ東京駅舎ノエル」は、洋酒を使ったスポンジケーキの上にフルーツをデコレーションし、東京駅駅舎をプリントしたサブレで囲っている。
「東京駅丸の内駅舎を模した形状にしたのは、国の重要文化財にも指定された建築物を現代的な駅ビルにするのではなく、あえて保存して復元したJR東日本に感銘を受けたから。その価値観を菓子の世界に置き換え、最新の印刷技術と伝統的な製法で、現代と昔の技術が調和した商品を作成したいと考えた」(コロンバン担当者)
また、東京駅で人気の洋菓子店「銀のぶどう」もヘクセンハウスを扱う。百貨店の三越では、自宅でホワイトチョコレート製のオーナメントを取り付けて完成させるタイプのヘクセンハウスを取り扱う。
「銀のぶどう」のクリスマスケーキについて、初出では「グランスタ限定で」と記載しておりましたが、該当部分を削除致しました。お詫びして訂正いたします。
“第4のチョコ”ルビーにも注目
18年らしいケーキといえば、10月に業務用商品が発売され、“第4のチョコ”として注目を浴びた「ルビーチョコレート」を使った商品も挙げられるだろう。(関連記事「“第4のチョコ”が一気に拡大 ローソンのロールケーキも」)。
コンビニ大手のローソンでは、同社のスイーツブランド「Uchi Cafe」から、ルビーチョコレートを使ったクリスマスケーキを発売する。円形のチョコレートケーキの上にルビーチョコレート入りのホイップクリームでデコレーションをほどこした、見た目にも華やかな商品だ。ケーキの中にもルビーチョコレートが使われている。
同じくルビーチョコレートを使った斬新なケーキを出したのはANAインターコンチネンタルホテル東京。同ホテル内のパティスリーが手がけた「ビュッシ・ド・ノエル・ルビーショコラ」はムースタイプのケーキで、デザインは雪山をイメージしているという。斬新なデザイン、そして話題性のあるルビーチョコを使用したケーキは、手土産にしても喜ばれるだろう。
(文/樋口可奈子)