5年前に買ったスーツを着ると、なんだかやぼったく見えてしまう。そんなときはスーツの買い替えどきだ。一見シンプルなスーツにもトレンドや経年劣化、体形の変化による“賞味期限”は存在している。 (関連記事「服のプロが明かす! ビジネススーツの『賞味期限』」)。

 ネットで手軽に採寸、購入できるサービスが登場するなか、注目を浴びているのが「スーツをレンタルする」新サービス。紳士服大手のAOKIが手がける「suitsbox」、レナウンの「着ルダケ」が、それだ。両社とも自分好みのスーツが選べて、しかも月額定額制という分かりやすさが特徴。だが、身に付ける洋服を「借りる」という行為に抵抗感を覚える人も少なくないだろう。いったいどんな人が利用するのだろうか。

2018年4月にスタートしたAOKIの「suitsbox」
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レナウンの「着ルダケ」は18年3月にサービスの提供を始めた
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「クルマがない」「時間がない」という声を参照

 AOKIのsuitsboxはスーツ、シャツ、ネクタイ一式がレンタルできるサービス。基本のプランは各1セットで月額7800円だ。全て同社のオリジナルで、6〜8万円相当のもの。およそ10分の1くらいの価格で借りられる計算だ。交換頻度は月に1回で、クリーニング代、裾などの補正、往復送料は月額費用に含まれている。

 シンプルな色や柄の「ベーシック」に加え、明るい色や目立つ柄などを使った「トレンド」、ジャケットとスラックスを上下セパレートで組み合わせた「ジャケット」の3つのバリエーションから選べるが、着丈、ラペル(下襟)幅、ウエスト幅などのデザインは共通だ。あらかじめ好みを伝えると、それに合わせてスタイリストがスーツを選び、裾上げなどの補正を施して発送してくれる。

 創業60年を迎えた老舗紳士服メーカーが、今後の数十年の展開を見据えて新たに立ち上げたサービス。AOKIはロードサイドを中心に展開していて駐車場付きの店舗が多く、スーツ一式が店内で全てそろうのが売り。週末のお出かけがてら、子どもを連れて家族全員でクルマで来店する人も多いという。ビジネススーツの購買層の中心は30〜40代で、平均購入価格は2万6000円前後だ。だが、来店頻度は平均して2年に1回。「オールシーズンのスーツを秋に購入して春まで着るという人が多い。クールビスの影響か夏物のスーツを購入しないので、15〜20年くらい前と比べて来店頻度は下がっているようだ」と同社suitsbox事業責任者の永沼大輔氏は話す。

 既存客の動きが鈍化するなかで、これまで利用していなかった客を取り込む必要が出てきた。そこで、AOKIに限らず紳士服量販店に足を運ばない層に対して行動調査を行ったところ、見えてきたのは「買いに行く時間がない」という問題だった。スーツを買うための時間に加えて往復の移動時間がかかる。補正が必要な場合は日を改めて取りに行く必要も出てくる。

 これにはクルマを所有していないことも影響している。都市部に住んでいて移動は公共交通機関のみという人にとって、ロードサイド店は来店のハードルが高い。また、マンション住まいで戸建てに比べて収納スペースに限りがあるという人もいる。こうした層に向けてのサービスとしてさまざまなアイデアが出るなかで、思い浮かんだのがスーツのサブスクリプションだった。