ブラジルが抱える問題に外国人が関わる意味

ジャパンフェスティバルでのサイン会では長蛇の列
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――つばささんが使っている石川県のスタジオにブラジルのミュージシャンが来ている写真を見ました。

つばさ: ブラジルではレベルの高いスタジオだと、日本の3倍くらいの使用料がかかるんです。飛行機代を出しても日本に来た方が安く上がるし、さらに日本でレコーディングしたという箔も付くので宣伝効果もあるそうです。現地のミュージシャンなどとのつながりが広がり、だんだんパイプが強くなってきたなと感じます。ブラジルは貧富の差が大きいこともあり、趣味の延長や片手間に音楽をしている人は多くありません。逆に音楽をされている方は、プロとして高い実力をお持ちなので、日々刺激を受けています。

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――現在、制作中のアルバムはどんな内容になりそうですか?

つばさ: ブラジルの曲のカバーとオリジナル、さらに日本の歌をポルトガル語でカバーした曲も入る予定です。オリジナルの1曲は、ブラジルの女性を取り巻く問題をテーマにしたもの。カバー曲も社会問題を歌ったシリアスな内容が多く、メッセージ性の強い作品にすることを考えています。日本で活動していた頃は、自分がそういう歌を歌うとは考えてもみませんでしたが、ブラジルという国と関わって意識が変わったし、ブラジル人ではない日本人が歌うことで、意味のある発信になると思っています。

――将来的な夢や目標は?

つばさ: 実は大きな目標があるんです。ブラジルには、すごい才能がありながら、貧困のために勉強できない環境にいる子どもたちがたくさんいます。彼らがITや音楽などを学べるセンターを作りたいんです。現地でのパイプを生かして実現させたいです。

――知名度と培った人脈があるから、できることがありますよね。

つばさ: 現地でもうひとブレークしたら、もっといろんな扉が開くと思います。今、ブラジル政府によるプロジェクト支援にエントリーしています。大物のミュージシャンの方々とブラジル3都市でコンサートをし、私のドキュメンタリー映像を作るという企画で提出しています。ブラジルに進出している日本企業の方にもご協力いただけるとうれしいですね。日本とブラジルをつなぐかけ橋になれればと思います。

――改めて今後のご予定を教えてください。

つばさ: 来春のアルバム発売を機に、またブラジルでツアーを行いますが、今回は日本での展開も予定しています。日本でもライブハウスなどに出ますので、ぜひお越しください。

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シンガーソングライター
今村つばさ
石川県金沢市生まれ。金沢市在住のシンガーソングライター。1999年、SONYディスク&テープ大賞にてベスト作詞作曲賞受賞。2009年「雨のよるに」でデビュー。同年、日本全国ツアーも行いながら、韓国やブラジルなどのフェスティバルにもゲスト出演を果たす。以降、ブラジルにはほぼ毎年渡り、「七夕まつり」や「ジャパンフェスティバル」に出演する。国内では、10年、金沢市文化ホールでワンマンコンサートを開催し、その模様を映像化したDVDリリース。12年に石川県観光特使就任。13年から活動をブラジルにシフトした。MPB(ブラジルポピュラーミュージック)の大胆なアレンジや、一部日本語にしてYouTubeに公開したことで話題となり、ブラジル大物アーティストからの支持も高い。以降、全国ツアーや国民的番組への出演を通して知名度を上げ、「ブラジルで最も有名な日本人」と呼ばれる。2017年、ブラジルのPressAwardにてMPBの部で大賞を受賞。公式YouTubeチャンネル「Tsubasa Imamura Brasil」は総視聴回数731万回以上(2017年9月)。
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(文/横田直子、写真/志田彩香)