シロカの「かまどさん電気」7万9800円(税別)とオリオン電機の「極音」3万4800円(税込み)
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開発を担当した佐藤一威氏。商品化まで約4年もかかり、試作した土鍋は約500個に達した
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 2000年に発売され、累計75万個を販売した炊飯用の土鍋「かまどさん」(長谷園)。その土鍋を使った炊飯器が18年、ついに発売された。コラボには大手家電メーカーもこぞって名乗りを上げたというが、創業200年近い歴史を誇る伊賀焼の窯元の心を射止めたのは、意外な会社だった。機能がシンプルで低価格が売りのジェネリック家電メーカー、シロカだ。

 長谷園が大手のオファーを断り続けた理由は、どの会社もIH方式を提案してきたため。高級炊飯器では、強い火力を効率的に引き出せるこの方式を用いるのが常識だ。ただ、IH方式は電磁力を用いるため、土鍋に金属を埋め込む必要がある。これでは伊賀焼の特徴である多孔質が損なわれることから、長谷園は、外側から加熱するローテクな電熱ヒーター方式を望んでいた。

じか火で使う土鍋「かまどさん」(写真左)を電気炊飯器用に改良(写真右)。加熱にはIHではなく電熱ヒーターを用いる
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 唯一、その条件をのんだのがシロカだった。同社は炊飯器を手がけるのは初めて。ノウハウもなければ、固定観念もなかったことが、逆に功を奏した。

 出来上がった炊飯器「かまどさん電気」は、常識外れなものに仕上がった。実勢価格が税込みで8万円を超えるにもかかわらず、保温機能はなし。土鍋では米を直接洗えず、水量の目盛りもない。使い勝手を犠牲にしても、ただただおいしいご飯を炊くことに特化した炊飯器だ。

金属コーティングはしていないが、鍋底に温度の感知センサーがある
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蓄熱性が高いため、炊飯が終了すると底面のファンを回して焦げを防ぐ
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 それでも従来のかまどさんと比べると、炊き上がるまで機械任せにでき、予約炊飯も可能など、メリットは大きい。百貨店など新たな販路も開拓し、発売4カ月で約1万台を売る順調な滑り出しを見せている。