チョコレートといえば、ブラック(もしくはダーク、ビター)、ミルク、ホワイトというイメージを持つ人は多いだろう。そんななか、「第4のチョコ」としてインターネットを中心に話題になったのが「ルビーチョコレート」だ。

 ルビーチョコレートは天然のピンク色とベリーのような酸味が特徴。スイスに本社を置くチョコレートメーカーのバリーカレボーが開発し、2017年9月に中国・上海で発表された。日本では2018年1月にネスレ日本が6カ月間の独占販売契約を締結し、「キットカット ショコラトリー サブリム ルビー」として発売している。

「ルビーチョコレート」はカカオ豆のなかでもルビー色になるカカオ豆を選別して加工している。バリーカレボーが10年以上をかけて開発したという
「ルビーチョコレート」はカカオ豆のなかでもルビー色になるカカオ豆を選別して加工している。バリーカレボーが10年以上をかけて開発したという

 そのルビーチョコレートが、この秋に一気に拡大する。著名なパティシエや大手菓子メーカーなどがルビーチョコレートを使った商品を開発。コンビニ大手のローソンも、同社の代表的なスイーツ商品「プレミアムロールケーキ」に、ルビーチョコレートを使った新商品をラインアップするという。

「Uchi cafe プレミアムルビーチョコレートのロールケーキ」(税込み350円)。2018年9月25日からローソン全店で発売。スポンジおよびクリームにもルビーチョコレートを使用。クリームの上にはルビーチョコで作ったプレートを乗せている
「Uchi cafe プレミアムルビーチョコレートのロールケーキ」(税込み350円)。2018年9月25日からローソン全店で発売。スポンジおよびクリームにもルビーチョコレートを使用。クリームの上にはルビーチョコで作ったプレートを乗せている

「第4のチョコ」が2つ?

 ルビーチョコレートを用いた新商品を発表した、東京・自由が丘のパティスリー「モンサンクレール」の辻口博啓オーナーシェフは、「ルビーチョコレートは製菓業界の人間から見ても魅力的でミステリアスな存在。これからもいろいろな商品に使われていくと思う」と話す。また、バリーカレボージャパン グルメセールスダイレクターの押切一浩氏も「ダーク、ミルク、ホワイトにはない特徴を持つ『第4のチョコ』」と自社商品について解説する。

「モンサンクレール」の「ソシソンショコラルビー」(税込み2300円)。19年1月中旬からモンサンクレールや百貨店の催事などで販売予定。ルビーチョコレートを使ったベースにベリーやナッツ類を練り込んでいる
「モンサンクレール」の「ソシソンショコラルビー」(税込み2300円)。19年1月中旬からモンサンクレールや百貨店の催事などで販売予定。ルビーチョコレートを使ったベースにベリーやナッツ類を練り込んでいる
兵庫・三田の有名パティスリー「パティシエ エス コヤマ」の「小山チーズ エチオピアンコーヒー+ルビーチョコレート」(税込み1728円)。北海道産のフレッシュなクリームチーズを使った口どけなめらかなスイーツに、コーヒーとルビーチョコレートが香る濃厚なスイーツ
兵庫・三田の有名パティスリー「パティシエ エス コヤマ」の「小山チーズ エチオピアンコーヒー+ルビーチョコレート」(税込み1728円)。北海道産のフレッシュなクリームチーズを使った口どけなめらかなスイーツに、コーヒーとルビーチョコレートが香る濃厚なスイーツ
ユーハイムの「ルビーミルフィーユ」(写真左、4個入り、税込み540円)は18年9月25日発売。イチゴとラズベリーのミックスクリームをサンドしたミルフィーユをルビーチョコレートでコーティングしている。ローゼンハイムの「ルビー&チョコレートヒストリー」(写真右、税込み3456円)は全国有名量販店のお歳暮カタログにて取り扱い予定
ユーハイムの「ルビーミルフィーユ」(写真左、4個入り、税込み540円)は18年9月25日発売。イチゴとラズベリーのミックスクリームをサンドしたミルフィーユをルビーチョコレートでコーティングしている。ローゼンハイムの「ルビー&チョコレートヒストリー」(写真右、税込み3456円)は全国有名量販店のお歳暮カタログにて取り扱い予定

 実際に食べてみると、確かに見た目だけでなく香りや味もこれまでのチョコレートとは異なる印象。だが、そもそもルビーチョコが話題になった理由の一つには、ネット上で「第4の」と称された別のチョコレートの存在があった。フランスのチョコレートメーカーであるヴァローナが開発した「ブロンドチョコレート」だ(関連記事 「ネット騒がす2つの“第4のチョコ” ルビーとブロンド」)。 18 年1月時点でルビーチョコレートの独占販売契約を結んでいたネスレ日本は、「第4のチョコ」というキャッチフレーズは用いていなかった。ブロンドチョコレートを扱うヴァローナも同様に、あくまでも「新しいカテゴリーのチョコレート」としていた。そんななか、バリーカレボーは「第4の」というフレーズを堂々と使う戦略に出たのだ。

「第4のチョコ」でメーカーの認知度が向上

 バリーカレボーはあくまで業務用チョコレートの扱いのみで、一般向けの販売は行っていない。だが、「第4のチョコ」を求めるニーズが高まれば引き合いも増えるだろうし、ルビーだけでなくミルクやホワイトなど同社の他の製品を買い求める取引先も増えるだろう。

 同社は日本における業務用チョコレートの売り上げやシェアは公表していないが「2017年9月にルビーチョコレートを発表して以来、バリーカレボーの一般認知度は上がったように感じる」(押切氏)という。

2018年10月3日に発売するルビーチョコレートの業務用商品「カレボー ルビーチョコレートRB1(アールビーワン)」(1.5kg入り、税込み5400円)。楽天市場内のカレボー公式ショップやカレボーの販売店である前田商店で購入できる
2018年10月3日に発売するルビーチョコレートの業務用商品「カレボー ルビーチョコレートRB1(アールビーワン)」(1.5kg入り、税込み5400円)。楽天市場内のカレボー公式ショップやカレボーの販売店である前田商店で購入できる

(文/樋口可奈子)

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