イオンは2018年8月21日、これまで食品がメインだった「トップバリュ グリーンアイオーガニック」ブランドから、初のオーガニックスキンケア化粧品「geo organics(ジーオ オーガニクス)」を発売した。オイルや化粧水など9種類のラインアップで、オーガニックスキンケア化粧品としては低価格となる1500~2000円(税別、以下同)で販売する。「単独ブランドで3年で5億円の売り上げを達成できるよう、ラインアップを拡大するなど育成を図る」と、イオンリテール ビューティ商品部長の木下大輔氏は意気込む。
自然派やオーガニック化粧品市場は、2012年から2016年までの4年間で255億円も増加するなど急成長している。安全、安心志向の高まりや環境に配慮する「エコ」や「ロハス」などというライフスタイルを追求する消費者の増加などが背景にある。
イオンリテールは現在、化粧品やシャンプーなどの美容用品売り場に、自然派(天然植物原料を主成分としているなど)やオーガニック化粧品を専門に取り扱うカウンターを積極的に導入しており、導入店舗を2021年までに現在の120から250に増やす計画も発表した。
「ビューティー売り場全体も右肩上がりだ」(木下氏)。全国のイオンのうち46店舗には、化粧品だけでなく、医薬品、調剤なども取り扱いカウンセリングも行うフロア「Glam Beautique(グラムビューティーク)」があり、こちらも自然派商品やオーガニック商品コーナーは主要素だという。「ナチュラル&オーガニックは、成長エンジンとしてこれからも拡大推進を図っていきたい」(木下氏)という。
トップバリュ グリーンアイは、食品をメインに展開しているブランドだが、なぜ化粧品にグリーンアイのブランド名を付したのか。「心身ともに健やかで快適な自然環境で豊かに暮らせる、持続可能な社会と平和な未来というビジョンや、自然から生まれた原料・素材をいかした人や環境にやさしい商品提供というミッションに合致している」と、イオントップバリュ 商品開発本部の谷村安里氏は話す。
ジーオ オーガニックは、30~40代のミレニアル世代の女性をターゲットにしているという。「美意識だけでなく、使用する物やライフスタイルを変えていくことで地球も自分も美しくなる、という精神的な健康も重視する世代で、オーガニックの考えと合致する」(谷村氏)。
ジーオ オーガニックの製品はすべて、国際オーガニック認証「エコサートコスモスオーガニック」による認証を取得している。オーガニックのスキンケア化粧品が増え続けるなかで、消費者の選択の指標となることが狙い。同認証は、フランスやドイツなどの5つの認証団体が2010年に取りまとめた世界統一基準で、審査対象は原料、製造工程、保管、物流、包装資材など多岐にわたり、審査水準は非常に厳しいといわれる。主な原料が有機栽培あるいは自然採取されたもので、製造工程が環境に配慮している、容器のリサイクルができる、などが認証の基準になる。
「多く出回るオーガニック商品の質に対して疑念を持たれる方も多い。外部認証基準を明記することで、より明確に品質保証を提示できる」(谷村氏)
初出では、「全国のイオンのうち75店舗には、化粧品だけでなく、医薬品、調剤なども取り扱いカウンセリングも行うフロア「Glam Beautique(グラムビューティーク)」があり」と記載しておりましたが46店舗の間違いでした。お詫びして訂正いたします。該当箇所は修正済みです。 [2018/8/23 8:00]
“しょうゆボトル”の二重構造で最後の一滴までピュアオイル
特徴は、洗顔後すぐにオイルを塗り、化粧水で水分を閉じ込める「オイル美容」だという。9種のラインアップのうち、肌の悩みに合わせたオイルが5種を占める。原料となる植物の栄養素を壊さないよう、高温にならないようにオイルを搾り取る「コールドプレス製法」で100%純粋なオイルを採取しているという。「オイルが肌を柔らかくして化粧水のブースター(導入剤)となる。その後、とろみのある化粧水を重ねるとその水分を抱え込んでべたつかずしっとりした仕上がりになる」(谷村氏)という。
オイルの容器には、しょうゆボトルでも使用されている、オイルの入った内袋と外容器の二重構造を採用しており、オイルが減るにつれて内袋が縮むため、外気に触れにくく酸化しにくいという。「瓶タイプに比べて割れる心配もなく軽量のため、持ち運びにも便利」(谷村氏)。
デモンストレーションを行ったオーガニック・ナチュラルコスメプロデューサー兼ナチュラルコスメメイクアップアーティストの小松和子氏は、「湿気の多い日本ではオイルは売れにくいが、このオイルと化粧水を重ねるとべたつきなく乳液でしあげたようなしっとり感になる。洗顔料は、シャンプーにも使え男性にもおすすめ。男性は皮脂が多いので、洗顔料に化粧水だけでもオーケー」と話す。
低価格も大きな魅力だ。梱包資材の簡素化などで価格を抑えることに成功したという。「オーガニックスキンケア商品は、3000円~1万円以上の高価格なものが多い。手に取りやすい価格帯で差別化を図る。高くて続けられないという人にも長く続けていただける」(谷村氏)。
拡大し続けるオーガニック市場に勝機を見いだすイオン。国内外にあまたあるブランドのなかで、低価格と新構造ボトルでの差別化は成功するか。
(文・写真/北川雅恵=日経トレンディネット)