業界ネタ一筋、国内から海外まで取材カバー歴15年の長谷川朋子さんが、いま気になるエンタメコンテンツをお節介にも紹介しながら、そこから見えてくるトレンドも勝手に解説します。今回は、漫画原作の実写版がヒットするのに必要な要因を『銀魂』を例に考察してみました。

漫画原作の実写版はヒットの方程式?

 ここのところ、漫画原作の実写版、とりわけジャンプ作品の実写版が続々公開されている。昨年公開された実写版『銀魂』は興収38.4億円(日本映画製作者連盟、平成30年1月発表)と、実写邦画の中でトップの成績を残し、今年の夏も続編『銀魂2 掟は破るためにこそある』が8月17日に公開され、8月18日~19日の国内映画ランキングで初登場首位を獲得した。今年は『BLEACH』の実写版映画も初公開され、これまでも『デスノート』『斉木楠雄のΨ難』『ジョジョの奇妙な冒険』とある。

 ジャンプ作品に限らず、実写版が増えている理由は、原作がヒットしていることを安心材料に映画化が進められているという単純なものでもなさそうだ。漫画原作を実写化するにあたって、必ず議論される「世界観」の問題があるからだ。過去にはあまりにも原作のイメージとかけ離れた作品があったことも事実だ。

 そこで明確な答えを求めるべく、『銀魂』『BLEACH』と立て続けに自局で放送したアニメコンテンツの実写化に参加するテレビ東京を訪ねた。「映画業界は今、漫画原作の実写化をヒットの方程式と捉えています。出版社も原作、アニメの認知度がさらに広がる相乗効果に期待して、企画が増えています」と、コンテンツの2次利用展開を統括するテレビ東京 ライツビジネス本部副本部長の福田一平氏が説明してくれた。

 話を聞いていくなかで、邦画そのものの盛り上がりも要因として大きいように感じる。2000年代はじめは興行収入のシェアは洋画が6~7割を占めていたが、2006年にそれが逆転し、10年以上にわたって邦画が活気づいている。こうした環境から福田雄一監督をはじめとするヒットメーカーを生み出し、役者陣も集まる好循環によって邦画ヒット作が生まれているというわけだ。

 これに加えて、「CG/VFX技術も実写版実現のカギになります」と、テレビ東京コンテンツビジネス本部アニメ局長の押田裕一氏が解説してくれた。「映像技術の向上によって、原作の世界観やキャラクターの表現方法の幅が広がっています。これまで実写化は難しいだろうと考えられていた作品も実現しやすくなり、作品そのものの幅も広がっています。『銀魂』はまさにそんな作品。CG/VFX技術の助けによってアクションシーンなどが生き、ギャグ以外にも見せ場があることが成功の要因だと考えています」。

映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』。2018年8月17日公開 (C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会
[画像のクリックで拡大表示]