図1 機械遺産に認定された「スバル360-K111型」
写真:スバルビジターセンター
[画像のクリックで拡大表示]

 日本機械学会は「機械遺産」の2016年認定分7件(第77~83号)を発表した。2016年8月7日の「機械の日」に認定式を東京大学弥生講堂で執り行う。

 認定された機械のうち「スバル360-K111型」(1958年発売)は、搭載エンジンの排気量360cc以下という日本独自の軽自動車規格で最初のヒット作になり、その後の軽自動車の発展の礎になった。1970年の生産終了までの生産台数は39万台以上。最初のロットのうちの1台を富士重工業が矢島工場内スバルビジターセンターに保存している(図1)。

 「金銭記録出納器『ゼニアイキ』」(1913年発売)は、伊藤喜商店(現イトーキ)が通算1万台以上を出荷した金銭登録機。中小規模の一般商店でのニーズを考え、当時主流だった輸入品に装備されていた計算機能を省いて売上金管理と防犯に特化するという一種の“リバース・エンジニアリング”で低価格化を図った。計算にはそろばんを使うのが普通だったためという。商品名称は銭勘定が合うことに由来。イトーキ東京イノベーションセンターSYNQAに現存している。

 「特許タツノ式ガソリン計量機 形式25号」は、龍野製作所(現タツノ)が製作した装置で、1937年製のものがタツノ横浜工場に現存。地下タンクのガソリンをいったん40Lの容器にくみ上げて、そこから5Lまたは1ガロンずつ給油できる機能を備えた装置。それ以前の装置は容器内の全量を給油するものしかなかったという。ガソリンをこぼさずに蒸散を抑えるという安全機能を併せ持っていた。

 1911年製の小型木造蒸気船用エンジン「二段膨張式船舶用蒸気エンジン」は、蒸気を高圧と低圧のシリンダーで順次膨張させることで、蒸気を節約できる方式のもの。1933年製の「樫野埼灯台の光学系機械装置」は、重い光源を水銀槽に浮かべることによって、小さな力で回転させられる「水銀槽式回転機械装置」の実例。以上の他、1966年に運転を開始した「松川地熱発電所」(岩手県八幡平市)、1962年開発の「移動式ブラシ付門型自動洗車機」(竹内鉄工、現タケウチテクノ)を認定した。

 日本機械学会はWebサイトで、これまで認定した機械遺産について、所在地の地図と公開/非公開の情報とともに紹介している。

(文/木崎 健太郎)