この記事は「日経ビジネスオンライン」2018年7月9日に掲載された「ラグビーで勝つよりも大切なことがある」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。

大学ラグビー9連覇の岩出雅之監督と、トップリーグと日本選手権2連覇の流大主将

「勝つ」と「勝ち続ける」の間には雲泥の差がある。偶然勝てることはあるが、偶然勝ち続けることは絶対にできない。経営でもスポーツでも、組織で結果を出し続けるためには、秀でた文化とシステム、人づくりが必要だ。大学ラグビーで前人未到の9連覇を継続中の帝京大学ラグビー部を率いる岩出雅之監督と、同大ラグビー部OBで岩出監督の教えを受け継ぎ、トップリーグのサンゴリアス主将として日本選手権2連覇を達成し、スーパーラグビー・サンウルブズでも主将として活躍する流大選手に、「逆境時のリーダーシップ」をテーマに語り合ってもらった。 (写真:厚地健太郎)

劣勢でも心に余裕を持てるようメンタルを鍛える

――帝京大学ラグビー部といえば、逆境に強いことで知られています。今年1月のラグビー大学選手権決勝、帝京大学対明治大学戦でも、後半13分まで13点差で負けていましたが、それをひっくり返して21対20の1点差で勝ちきり、9連覇を達成しました。普通なら精神的にかなり追い詰められる場面ですが、流選手は帝京OBとしてどのように試合を見ていましたか?

流: 僕は、最後には帝京大学が必ず逆転して勝つと思って、試合を見ていました。昨年の大学選手権決勝の東海大学戦もそうだったんですが その時点で負けていても、選手の表情が生き生きしていた。ニコニコしている選手もいて、それを見たときに「大丈夫だな」と思いました。また4年生の選手は、僕が4年生だった時の1年生で、生活を共にしました。帝京大学ラグビー部で4年間過ごすと、精神的にも大きく成長できます。その選手たちの4年間の成長と試合時の表情から、彼らを中心に13点差を必ずひっくり返せると信じて試合を見ていました。

岩出: 試合で先行されるのは、やはりミスが出ているからなんですが、選手たちがどんな心理状態を持ち続けているかがとても大事です。ポイントは、一喜一憂しない心理状態を保つこと。そもそも力が及ばなければ負けるし、逆に、対戦相手が心理状態を保てずに崩れてくれれば勝つチャンスは大きくなる。劣勢にあっても心に余裕のある状態を保てるかどうか。我々は完全にできているわけではないけれど、仕上がってきている状態で試合に臨めていました。そのうえで、自分の持っているものを全員がそれぞれ出し切る。負けていても、ネガティブな発想にとらわれないようにメンタルも鍛えてきました。

流 大(ながれ・ゆたか)氏
ラグビー・トップリーグのサントリー・サンゴリアス主将。スーパーラグビーのサンウルブズでも主将を務める。1992年福岡県生まれ。2011年帝京大学入学、ラグビー部に所属し2年からレギュラー。4年で主将になり、大学選手権6連覇達成に貢献。2015年サントリー入社。サンゴリアスで2年目(2016年度)にキャプテンに抜擢されると、チームは前年9位からトップリーグ優勝、日本選手権も制する。2017年度も2年連続で2冠達成。選手としてトップリーグのベスト15にも輝く。日本代表キャップは12。2019年ラグビー・ワールドカップで日本代表を牽引するリーダーとしての活躍に期待がかかる