元キヤノンのデジカメチームが挑戦

 これを作ったメンバーは、キヤノンのデジタルカメラを作っていた(または作っている)人たちなのだ。彼らが普段作っている工業製品とは違うベクトルの製品を、同じクオリティーで作ったのがこのGALAというわけだ。

山麓社のメンバー。左から、エンジニアの加藤貢太氏、メカニカルデザイナーの戸取祐樹氏、代表でプロダクトデザイナーの佐藤圭多氏、マーケティングの鵜瀞(うのとろ)悠氏、ソフトウエアエンジニアの坂本誠氏。加藤氏と佐藤氏はキヤノンで「EOS 5D MarkⅢ」などのデジカメを手掛けていた。
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 「デジカメを作るのは、キヤノンという会社が積み重ねた歴史を受け継いでいく、という面白さがあった。僕は『EOS 5D MarkⅢ』という機種をデザインしたが、当然、MarkⅡがその前にある。だから、MarkⅡの持つDNAを受け継ぎながら新しいものを作る、というのがデザイナーの仕事になる。それで、受け継ぐべきものを捉えるためにMarkⅡや過去のデジカメを研究していると、それを作った先輩方が考えたことがモノを通して感じられる。それを感じながら新しい形を形作っていくという面白さがある」と佐藤氏。大手メーカーの工業製品を作る面白さは別にある。しかし、今回GALAでやりたかったことは、それとは大きく違うものだという。

 「GALAの場合は、まずモノを存在させることから考える。体験を考えて、そこから必然的にできるものを作る作業。こういうことはメーカーの中だとなかなかできない作業なので、最初は難しかった」と佐藤氏。それは今までやっていたこととは反対のベクトルだからだ。

 「今の工業製品は、課題を解決するためにあるというか、そのために作るようなものだが、GALAは課題を何も解決しない。むしろ、問いを発するみたいなもの。そういうものを作ってみたいと考えていた」(佐藤氏)。確かにGALAは素材が木で、樹脂部分は表に一切露出しない。カメラとは全く違う製品だが、実際に使っているとなんとなくカメラのDNAを感じるから面白い。

 一つは、昔のカメラのオプションにあった木製グリップと似ていること。「カメラのデザイナーは、グリップのデザインをなん百通りも検討する、いわば握りやすさの専門家でもあるのだ」(佐藤氏)。