この記事は「日経トレンディ」2016年6月号(2016年5月2日発売)を再構成し転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

UPQの中澤優子CEO。カシオ計算機で携帯電話のプロジェクト管理を担当した経験が生きているという
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 シャープが台湾の鴻海精密工業に買収され、東芝が白物家電部門を中国の美的集団に売却──。メード・イン・ジャパンの名声を築き上げてきた家電の大手ブランドが、相次いで外国資本傘下に入った2016年。一方で、家電の世界に新しい“波”が起こり始めている。

 それが、独自の付加価値を持たせた低価格家電でヒットを飛ばす新興メーカーの隆盛だ。女性1人で17種ものデジタル家電を数カ月で作り上げた、UPQ(アップ・キュー)。大手家電メーカー出身の技術者らの力を借りながら、家電を主力事業に育てようとしているアイリスオーヤマ。ホームベーカリーや全自動コーヒーメーカーが売れて知名度を上げたシロカなど、個性派ぞろいといえる。

値頃感と新規性を両立した家電が急増
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 かつて大手メーカーの実質的な寡占状態だった国内家電市場は、少子高齢化が進むにつれて市場が縮小傾向になり、競争が激化。大手メーカーは高付加価値路線に走り、家電はどんどん高性能・多機能・高価格になっていった。高くても良いものが売れる一方で、シンプルで低価格な製品との二極化も進んだ。ここで急成長したのが、“ジェネリック家電”だ。

 ジェネリック医薬品(後発医薬品)をもじって名付けられ、大手メーカー製品と同等の性能がありながら、機能を絞り込むなどして価格を抑えた格安家電を指す。液晶テレビや電子レンジ、掃除機、オーブントースターなどが典型例で、今や大手家電量販店でも品ぞろえを強化するほど支持を得た。

 ところが、ジェネリック家電の価格競争も激化。そこで、価格を抑えたまま付加価値を高めようとする新興メーカーが、数年前から増えてきた。背景には、中国などの受託生産メーカーが開発力や生産品質を向上させたことで、完全オリジナルの家電を作りやすくなったことが挙げられる。こうして起こったのが“サードウエーブ”だ。

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 決して「安かろう悪かろう」ではない、キラリと光る実力を備えた“サードウエーブ家電”──。その真の実力に迫る。