レイコップ・ジャパンは2018年2月23日から、一部の家電量販店や直販サイトなどで「ふとんコンディショナー RAYCOP FUTOCON」の販売を開始した。実勢価格は12万8000円だ。

レイコップ・ジャパンが2018年2月23日に発売した「ふとんコンディショナー RAYCOP FUTOCON」(実勢価格12万8000円)
レイコップ・ジャパンが2018年2月23日に発売した「ふとんコンディショナー RAYCOP FUTOCON」(実勢価格12万8000円)
ディスプレーで寝床内温度・湿度状態をリアルタイムに確認できる。寝床内温度は5段階の設定が可能
ディスプレーで寝床内温度・湿度状態をリアルタイムに確認できる。寝床内温度は5段階の設定が可能

 レイコップシリーズは2012年に世界初のふとん専用掃除機として発売され、国内だけで累計約490万台を販売するヒット商品となった。今回のふとんコンディショナーは「ふとんケア」を行うという新しいカテゴリーの製品だ。

 温風を出す本体とエアマットがセットになったもので、エアマットのセンサーで寝床内の温度コントロールを行う「睡眠ケア」と、50度以上の温風を用いることで除菌・防ダニ・脱臭といった「寝具ケア」を行える。

就寝時の最適寝床温度は“33±1度”

 使用方法は次の通りだ。「睡眠ケア」モードでは、就寝時刻の10分前から作動させ、就寝時刻から寝床内の温度を徐々に下げて入眠をサポート。就寝時はエアマット内のセンサーが本体と寝床内の温度情報を共有し、自動で風量と温度を調節することで快眠温度の33±1度をキープするという。

 開発を担当する武藤真嗣氏は「睡眠に関するさまざまな研究があるが、一般的に就寝時は33±1度が最適な温度といわれている」と語る。

 起床時にはスッキリと目覚められるように寝床内の温度を徐々に上げていく。就寝と起床の時刻はタイマー設定できるようになっている。

睡眠ケアモードの温度推移イメージ
睡眠ケアモードの温度推移イメージ
ベッドでの使用イメージ
ベッドでの使用イメージ
付属の延長ユニットを使用(および本体の上下を入れ替え)することで、さまざまな高さのベッドや敷布団、マットなどでも使えるように設計されている
付属の延長ユニットを使用(および本体の上下を入れ替え)することで、さまざまな高さのベッドや敷布団、マットなどでも使えるように設計されている

 エアマットには東洋紡と共同開発した、高反発設計と体圧分散、耐久性、通気、衛生(抗菌・防臭・水洗い可能)に優れているという3層構造体「エアスペーサー」を採用。

エアマットには東洋紡と共同開発した3層構造体「エアスペーサー」を採用している
エアマットには東洋紡と共同開発した3層構造体「エアスペーサー」を採用している

 「エアスペーサーは96%が空気層になっており、空中で横になっているような寝心地が得られる。熱にも強く、高い耐久性を持っており、水洗いも可能なので清潔、快適に使用できる。当初はシングルサイズのみだが、ラインアップ拡大を検討している」(武藤氏)

 「寝具ケア」モードは約120分間、エアマット全体に50度以上の温風とレイコップが独自開発した「ホメスタイオン」(除菌・脱臭に効果を発揮するというもの)を送り込むというもの。寝具に多く存在するダニの対策はもちろん、除湿、除菌、脱臭を行い、寝具を清潔に保てるという。

 発表会には、10万症例の糖尿病患者や1000人以上の睡眠時無呼吸症候群患者向けにCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)を導入してきたという、医療法人みなとみらいの田中俊一理事長が登壇し、睡眠の重要性について語った。

医療法人みなとみらいの田中俊一理事長
医療法人みなとみらいの田中俊一理事長

決して安くはないが、睡眠状況の改善には期待できる

 睡眠時は約1時間半程度で脳が深い睡眠状態から覚醒状態へと移るサイクルを繰り返しており、そのサイクルを5回、つまり約7時間半の睡眠が必要だという。

 「睡眠時間と死亡危険率との関係を調べた米国の調査(Yaggi HK ef al:Diabetes Care 29:657-61,2006)では、7時間半が一番死亡リスクが低い結果だった。糖尿病は6時間だと7時間半睡眠の約2倍、5時間以下では3倍以上にもアップする。血圧も血糖値も睡眠時間が大きく影響する」(田中理事長)

睡眠のサイクルは約1時間半で、それを5回繰り返す約7時間半の睡眠がベストだとのことだ
睡眠のサイクルは約1時間半で、それを5回繰り返す約7時間半の睡眠がベストだとのことだ
睡眠時間と死亡危険率の相関関係図
睡眠時間と死亡危険率の相関関係図
睡眠時間と糖尿病発症の相関関係図
睡眠時間と糖尿病発症の相関関係図
睡眠時間と高血圧症発症の相関関係図
睡眠時間と高血圧症発症の相関関係図

 睡眠時には体温調節機能が低下するため、体温を保つことが「中途覚醒を起こさないために重要」と田中理事長は語る。

 田中理事長は実際にFUTOCONをしばらく試してみたとのこと。「明け方も同じ寝床内温度が保てるので、中途覚醒を起こしにくい」と、ふとんコンディショナーの魅力について語っていた。

 ふとんコンディショナーは12万8000円と決して安くはない。ただ、睡眠に悩みを持つ人は少なくはない。筆者も夜中に何度も中途覚醒してしまうことがあり、睡眠改善への悩みは尽きない状況だ。

 このモデル自体は人の睡眠状況をモニタリングするわけではなく、入眠設定時刻から起床設定時刻までの寝床内温度をコントロールすることと、寝具ケアを行えるというシンプルなもの。とはいえ、睡眠状況を細かくトラッキングできるリストバンド型活動量計などと組み合わせれば、長年睡眠に悩んでいる人でも改善に向かえるかもしれない。

 できればレイコップがそうしたリストバンド型睡眠計やアプリなどと組み合わせて、よりインテリジェントに睡眠を改善できるソリューションを提供してほしいところではある。当初はシングルサイズのみだが、セミダブルやダブルサイズなどが登場すれば、より幅広い家庭で利用できるようになることだろう。機能の追加やインテリジェント化なども含めて、今後の進化にも期待したい。

(文・写真/安蔵靖志=IT・家電ジャーナリスト)

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