真っ赤な太陽! 低めの高度で気分は「ご来光」

 成田を離陸して20分ほどで鑑賞スポットに到着。午前6時45分の日の出を待つ。最初、左右のどちらか一方の窓からしか初日の出がみられないのではないかと心配したのだが、現地で何度か旋回するので、どちらに座っていても眺めることができた。ベルト着用サインは消灯しており、窓がない中央部の席の人たちも通路に出ることが可能。初日の出が見える位置が変わるたびに、多くの人がスマホ片手に移動するのは、通常のフライトにはない光景だ。

機内に初日の出の光が差し込んできた
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上空から見る太陽は思った以上に明るかった
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 正直に言えば、実際に初日の出を見るまでは「初日の出なんてどこで見ても同じだろう」と思っていた。上空で見るメリットは、雲の上なので地上の天気が曇りでも確実に見えるぐらいだろうと。

 しかし違った。上空だから太陽に近い、というわけではないのだろうが、まるで夕日のように真っ赤で、差し込む光には熱さまで感じるのだ。ちなみにこのときの飛行高度は4900m。通常は1万mなのでだいぶ低い。高山の頂上で日の出を拝む「ご来光」を意識して、あえて低めに設定しているそうだ。

 初日の出の鑑賞を終えた飛行機は、相模湾を越えて次のスポット、富士山へ。移動の間、機内ではプレゼントが当たる抽選会が行われ、盛り上がる。館山沖から20分ほどで右手に富士山が見えてきた。東京から西へと向かう通常のフライトでもたまに「富士山が見えます」とアナウンスが入ることがあるが、さすがに席を立ってまで見に行く人はいない。しかし、それが目的のこのフライトは別。記者をはじめとする左側の座席に座っていた乗客はこぞって席を立ち、通路から食い入るように富士山を眺めた。

初日の出に続く富士山の登場に盛り上がる
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「一富士、二鷹、三茄子」の1つが上空でかなう
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 ところが実は、自席に座ったままでもよかった。静岡の手前でUターンし、今度は左手に富士山が現れたのだ。左右どちらに座っていても、きちんと富士山を拝めるように配慮されているのはうれしい限りだ。

 これでイベントは全て終了。富士山の真横を過ぎると、機体は高度をぐっと上げた。ここまで高度4900mで飛行してきたが、気流が強く飛行にはあまり適さないという。ここから通常の飛行ルートと同様、伊豆大島上空を経由し、房総半島をぐるりと回って一路成田へ。8時ごろ、離陸時とは打って変わってすっかりと明るくなった滑走路へと着陸した。

 国内線としては比較的長い約2時間のフライトだったが、初日の出を見たり、富士山を見たりとイベントが満載で忙しいほど。搭乗前におせち風の弁当や紅白まんじゅう、日本酒などが配られていたが、機内で口にしている人は少数。多くの人はお土産として持ち帰ったようだ。

弁当にお酒と、お土産が盛りだくさん
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搭乗証明書も記念に配られた
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 風景が楽しめる鉄道と比べると、スピードは速いが味気ない移動手段としてのイメージが強い飛行機。しかし初日の出フライトでは、上空からならではの景色を堪能できた。前方のビジネスクラス席は2人で13万円と値が張るが、海外へ行くことを思えば安いかもしれない。

スタッフに見送られて空港を後にする参加者たち。満足度は高かったようだ
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※本記事は日経トレンディ3月号特集「ANA & JALを使い倒す」との連動企画です。

(取材・文:佐藤嘉彦=日経トレンディ)