海外112都市、国内21都市への路線が就航している成田国際空港。国際色豊かな行き先があふれる中、年に一度、元旦に奇妙な行き先の特別便が飛ぶ。到着地は成田。つまり、成田発成田行きというフライトだ。

 天候不良でもないのに出発地に戻ってきてしまう――そのわけは、移動のためではなく初日の出を見るために飛び立つから。JAL、ANAともに2001年に初運航し、今では恒例行事になっている。料金はJALの成田空港発着便の場合、お一人様は2万5000~4万円、お二人様なら8万4000~13万円。同じくANAは羽田空港発着便でお二人様7万~10万円だ。どちらも決して安くないにもかかわらず、両社とも窓側席は発売から30分ほどで完売するという人気ぶり。正月の早朝、どのような人たちが参加しているのか、そしてどのような点が人々を惹きつけるのか、実際に搭乗してみた。

JALのツアーとして発売される初日の出フライト。毎年完売御礼の大ヒット企画という
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早朝フライト、空港までどうやって行く?

 初日の出フライトを取材できると聞いたとき、まず悩んだのが空港までの足だ。今回取材するJALのフライトは、取材陣は成田空港に早朝4時過ぎの集合。乗客の搭乗受付も4時30分から始まり、5時40分には出発するという。始発では到底間に合わず、空港近くのホテルに前泊か、あるいはマイカーで向かうか……。

 迷っていたときにハッとひらめいたのが、早朝出発のLCC向けに深夜でも走っている格安バスの利用だ。東京駅と成田空港を約1時間で結ぶ「東京シャトル」には、深夜の1時50分発、2時10分発があり、搭乗受付に十分間に合う。事前にネット予約しておけば、料金も900円と安い(未予約の場合は2000円)。次に問題となるのが東京駅までの足だが、よく考えてみれば、大みそかかから元旦にかけてはJR線や地下鉄線が終夜運転しており、事なきを得た。

 ならば成田空港までも電車で行けるのでは、と思った方は残念。確かに成田には成田山新勝寺という一大初詣スポットがあるので、JR線、京成線ともに終夜運転している。ただ、成田駅や京成成田駅から空港までの区間は運転していない。よって、やはりバスに乗るのが“正解”だった。

 というわけで、紅白歌合戦もそこそこに家族と分かれて一人仮眠を取り、日も変わった深夜1時過ぎに自宅を出発。地下鉄で東京駅へと向かう。渋谷からはテンションが高い外国人観光客が大騒ぎしながら乗り込んできた。スクランブル交差点のにぎわいっぷりが目に浮かぶ。

 東京駅はうってかわって人もまばらで静かだった。バスには10~20人程度の乗客がいたが、スーツケースを持った若い女性や外国人ばかりで、初日の出フライトの参加者ではなさそうだ。案の定、ほとんどの乗客はLCC専用の第3ターミナルで降りてしまった。バスを使うのが正解と思っていたが、どうやら初日の出フライトの参加者は別の手段で空港まで来るようだ。

深夜でも1000円以下で移動できるのはありがたい
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 成田空港は24時間運用の空港ではないが、深夜・早朝に飛ぶLCCへの対応で、第3ターミナルと第2ターミナルは24時間開放されるようになった。前日の深夜に到着したと思われる観光客が、ベンチなどで横になって眠っている。初日の出フライトが出発する第2ターミナルでは、セブン‐イレブンと吉野家だけが24時間営業となっており、とりあえず吉野家で牛丼を食べながら暇をつぶすことにした。

吉野家は24時間営業だったが、その下の到着ロビーは照明が消されていた
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都内へのアクセスの足が動き出すまで仮眠をとる人々も
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