自動車や自転車、スポーツ用具などに取り付けてさまざまな瞬間を写真や動画で切り取れる「アクションカメラ」が人気だ。2005年に米GoProの「HEROシリーズ」(当時は35mmフィルムカメラ)が切り開いた市場だが、ソニーが2012年に「アクションカムシリーズ」を発売し、パナソニックも2013年に「ウェアラブルカメラ HX-A100」で参入するなど、ここ数年で一気に盛り上がってきた。

 英フューチャーソース・コンサルティングの調べによると、2014年度のアクションカメラの販売台数はグローバルで約760万台、金額としては約32億米ドル(1ドル=122円換算で約3904億円)に達したという。グローバルの市場規模は2014年度で前年度比約44%増、特にアジア太平洋地域では約114%増と大幅な伸びを見せている状況だ。

 大手メーカーが続々と参入して“レッドオーシャン”(激しい争いが繰り広げられる既存市場)になった感のあるアクションカメラ市場だが、リーディングカンパニーである米GoProはいかにしてその座をキープしようとしているのだろうか。また、そもそもHEROシリーズを開発したきっかけは何だったのか。今後どのように発展していくのかなどについて、GoPro CEO(最高経営責任者)のニック・ウッドマン氏に聞いた。

GoProのニック・ウッドマンCEO
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「波を乗りこなすクールな姿を残したい」

──GoPro HEROシリーズはスポーツなどを臨場感あふれる映像として残せるアクションカメラの代名詞となっていますが、開発のきっかけは何だったのでしょうか。

ウッドマン氏: 私は元々サーフィンに打ち込んでいて、その姿を撮りたいというのが最初の動機でした。ビーチから望遠レンズで狙うのではなく、ライブ感のある写真を撮りたいと思ったのですが、当時はちょうどいいカメラがありませんでした。

 2002年のある日、約5カ月間の旅に出ました。オーストラリアからインドネシアまでサーフィンをするというものです。そのときに、手首にカメラを巻き付けて撮影するというアイデアにたどり着いたのです。しかし当時は、それが今のGoProのビジネスにつながるとまでは思ってもいませんでした。

GoProの撮影例
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──そのときには、市販のカメラを使って撮影したのですか?

ウッドマン氏: そうです。最初はとてもローテクですよ。35mmフィルムを使った、防水性能を備えるいわゆる「使い捨てカメラ」です。すごく軽量で水の中でも使えるため、それを腕に巻いて使ったのです。

 最初のGoPro製品は、2004年に発売した35mmフィルムカメラでした。腕に巻き付けて撮るというスタイルで5年ほどビジネスを続けていましたが、手首に装着しても自分がサーフィンしている姿を撮ることはできません。自分の姿を誰か他の人が撮影しなければなりません。これでは普通のカメラと同じだと思いました。

──そこから「自撮り」につながるアイデアはどこから生まれたのですか?

ウッドマン氏: 当時、サーフィン以外にも自動車レースにのめり込んでいました。そこで思いついたのが、自動車の「ロールバー」(車体の剛性を高めるほか、事故による横転などから乗員スペースを守るためのフレーム)です。ロールバーにカメラを取り付けて撮影すればいいのではないか。これはビッグアイデアでした。

 それまでは手首に取り付けるスタイルで販売していましたが、そこで初めて今のGoPro HEROシリーズの原型ができたのです。

 サーフボードの先端や自動車のロールバー、もちろん手首に取り付けることも可能になったことで、いろいろな人の人生をさまざまな視点から撮影できるようになりました。

 このときにものすごく世界観が広がって、いままでにない写真やビデオが撮れるようになっただけでなく、そのときの「感情」といったものも表現できるようになりました。ほかの人が撮るのではなく、自分が撮ったものをドキュメントとして撮影し、残せる商品になったのです。

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