ワンアクションでポイントも決済も終わる心地よさ

 実際にやってみると、トモズで感じるような煩わしさを全て拭うような体験だった。ポケットからスマホを取り出し、「支払いはApple Payで」と伝えて、リーダーにかざすだけでいいから当然だ。初回はあまりにもスムーズで、本当にポイントがたまったのか半信半疑だったが、レシートを見るときちんと詳細が印字されている。すぐにPontaアプリが通知機能を使って残高の増加を教えてもくれる。

ローソンとロイヤリティマーケティングがワンアクションで決済とポイント蓄積を済ませられるサービスを開始
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 サービス開始初日、デモンストレーションを含めてローソンとロイヤリティマーケティングの担当者を取材したところ、意外な目的がこの取り組みにあると知った。利用者の側の利便性向上に脚光が当たりがちなこのサービスだが、狙いはもう一つあるという。「レジの混雑を解消するなど店舗オペレーションを効率的にしたかった。その結果、店員の働きやすさを改善する効果も大きく期待している」(ローソンの永井祐輔マーケティング本部プロモーション部カードサービスチームアシスタントマネージャー)。

 多機能化を競い合い、生活のあらゆる場面で消費者との接着性を強めるコンビニ業界。しかしながら、手を広げれば広げただけ店員が覚える内容も手を動かす作業も増え続ける。少しでも手間を省いて店員の負荷を下げ、働きやすい職場だと感じて勤め続けてもらうような企業努力が、今求められているという。決済関連1つとっても、QRコードを使った様々なサービスが雨後のたけのこのごとく登場し、コンビニは対応を迫られている。新サービスでポイントカードを処理する時間が減っていけば、確かに期待している効果が生まれそうだ。

 「ポイントカードをお持ちですか」――。筆者はレジの支払いで最初に発せられるこのフレーズがあまり好きではない。毎日通う店では、「常連なんだから、そろそろ顔パスとは言わないが、お持ちですよね、ぐらい聞いてほしいなぁ」と、わがままな気持ちになる。一方めったに行かない店で尋ねられれば、「持っていないけど、もうきっと来ることないし、わざわざ作らされるのは面倒だなぁ」と、一見さんとしてひねくれた気持ちにもなってしまう。

 実は「ポイントカードはお持ちですか」といちいち聞いてくるローソンは正直あまり好きではなかった。どちらかといえば、ポイントカードのことを聞かずにすぐに決済のアクションに移るセブン-イレブンのほうが好みだった。それが新サービスがスタートしてからは、すっかりローソン派に転向してしまったほどだ。決済もスピーディーだし、ポイントも簡単にたまるのだから。

 ローソンの今回の取り組みはとても小さく地味なものかもしれない。だが、一度体験すれば「脱現金」したくなる買い物体験をうまく演出することに成功しているのは間違いない。

 その視点に立って、様々な企業が「キャッシュレス」を合言葉に新サービスのアピール合戦を繰り広げる現状を眺めると、現金を圧倒的に超える高いレベルの使い勝手を競い合っているようには思えない。このままでは、キャッシュレスは一過性の「バズワード」となり、いずれ消費者に飽きられてしまう。本質的に生活を、そして社会をアップグレードするキャッシュレスをこの国に根付かせるには、現金時代の買い物体験の常識をスクラップ・アンド・ビルドして再構築するぐらいの気概で各社が戦わなければならないのではないだろうか。

(文/高田 学也=日経 xTECH/日経FinTech)