「NOTTV」がバーチャルアイドル復活のきっかけに

――1996年当時と現在を比較した場合、CGを活用したバーチャルアイドルに対するニーズや受け止め方は変わっていると思いますか?

堀社長:当時も今も変わらないと思います。優秀な才能を集めて、ビジュアルはCGで作ればいいという発想は以前からあるものですから。

 ただCGの世界を見ると、海外は現実と見間違えるくらいリアルな方向に向かっていますが、日本ではそんなものは求められていませんし、ドメスティックな市場しかないのでお金もない。安くできて、親近感があって、夢のあるRPGが大好きな国民だからこそVTuberが成り立っているし、そうした文化はアジアの国々でも受け入れられやすいのかなと思っています。

 しかも、22年前とは受け入れる側の土壌が全然違う。当時は“オタク”が地下に潜っていた時代でしたから、もし伊達杏子をキャラクターで作っていたら「オタクっぽい、気持ち悪い」と言われていたと思います。しかし、現在はオタクがむしろ前に出てきていて、アニメが大好きだと自ら発信するようになっていますから。

 実は、当時伊達杏子を作ったプログラマーの中に、その後、映画の「ファイナルファンタジー」の制作に携わった人がいます。この映画はリアルな表現に向かいましたが、お金をかけた割にうまくいかず、やはりキャラクター的な世界のほうに戻っていった。「そうした歴史がキャラクター人気を示している」と社員の1人(「伊達あやの」を仕掛けた鈴木氏)に言われて、「そうなのかな」とは思いましたが、もう1度伊達杏子と同じことをやりたいとはさらさら思っていなかったですね。

「伊達杏子で、食べない、死なない、年を取らないタレントを作ろうと思いました」
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――それがなぜ、再びバーチャルアイドルを展開するに至ったのでしょう?

堀社長:実は2、3年前に「NOTTV」(2016年まで展開していたスマートフォン向け放送サービス)の番組審議委員をやっていて、そこで見せられた番組の中に生放送のアニメ番組(編集部注:『みならいディーバ(※生アニメ)』)があったんです。その番組の中では、ペラペラのポリゴンのキャラクターがいて、別の場所でモーションキャプチャーをしてリアルタイムに動かしていた。そして視聴者から歌詞が送られてきて、30分の生放送の間に1曲作るという企画をやっていたんです。

 「これならやってもいいな……」と思ったのですが、私にはVTuberという発想がなかった。ですが、鈴木が私に「伊達杏子の娘でVTuberをやりたい」と言ってきたんです。彼は私が伊達杏子に強いこだわりがあると思っていたようですが、「そういえば伊達杏子もそういう年だな」という思いもありましたし、「どうぞ、何をやっても構わないよ」ということで。