トレンド・フォーカス

Amazon Echoを核に、スマートホームの未来は切り開けるか?

日経クロストレンド EXPO 2018

2018年12月04日

給湯器やガスコンロをハイテク制御するリンナイ

 「スマート&イノベーション ホーム」エリアで最大のブースを構えていたのがリンナイだ。同社はメニューから調理方法を選ぶだけで火加減を自動制御するガステーブルなどをいち早く手がけていたが、ここでは現在の最上位機種「デリシア」の最新モデルを中心に展示。最新モデルでは本体の操作でプリセットされたメニューだけでなく、スマートフォンからレシピを指示することで、より多くの自動調理に対応することができる。

機能美あふれるリンナイの最高級ガステーブル「デリシア」。たとえば天ぷらを揚げる際に油温を指定して自動でキープしたり、メニューから選ぶだけで土鍋での炊飯を自動でこなしたりと超高機能。専用アプリでスマートフォンからレシピを送信することもできる
[画像のクリックで拡大表示]

 同社のハイブリッド給湯・暖房システム「EECO ONE」に対応した給湯リモコン「MBC-301VC」は、Amazon Echoにも対応する。お風呂に自動でお湯張りをしたり、床暖房をオンにしたりといった操作を音声で行うデモに注目が集まっていた。ほかにもスマートフォンを接続して火加減を自動で調節してくれるデリシアのインテリジェントな機能に、多くの男性来場者が驚かされていた。

「Amazon Echo」と組み合わせて音声でさまざまな操作が行える給湯リモコン「MBC-301VC」。夕飯の調理をしながらお風呂のお湯張り、といったこともこのリモコンなら実現できる
[画像のクリックで拡大表示]

IHIはEVの利便性を劇的に高める非接触給電システムを展示

 スマートホーム、というくくりからは若干外れてしまうが、IHIの出展が非常に興味深かった。同社が超シンプルなブースに展示していたのは、電気自動車(EV)への給電をワイヤレスで行う非接触給電システム「B/C」だ。

給電装置の本体は、地中に埋めた四角い部分。ポールは給電設備の目印となる
[画像のクリックで拡大表示]

 電気自動車やプラグインハイブリッド車では、エンジン車における「給油」に当たる「給電」が必要となるが、これをワイヤレスで行うのがこの「B/C」。パッドの上に置くだけでスマートフォンに充電できる、「Qi(ちー)」規格の電気自動車版と考えれば分かりやすいだろうか。車に電気ケーブルを接続する必要なく、地面に設置した給電システムの上に停車するだけで、電気自動車への給電が可能というお手軽さ。IHIでは商業施設への付設だけでなく、戸建て住宅への販売も考えているという。

 給電設備は若干地面から盛り上がった状態で敷設されるが、これは最低地上高の高いSUVなどを考えてのこと。給電には自動車側と設備表面の距離を15cmくらいまで近づける必要があるのだそうだ。

 スマートフォンでも「Qi」の便利さを知る人ならこの「B/C」の利便性は身をもって理解できることだろう。今後、電気自動車やプラグインハイブリッドが普及するためにはこうした利便性の向上は不可欠だ。

ポールには青いゲージが点灯し、給電の進ちょくに合わせて変化する
[画像のクリックで拡大表示]

目新しさはいずれ“必需”に

 照明やエアコン、テレビにはじまり、今や給湯システムやガステーブルまでもがコンピュータで、しかも音声で話しかけるだけで制御できるという各社の展示。主催者企画ブースに付けられた名前は「明日の部屋」となっていたが、実際にはそのほとんどが現在すでに市場にある製品ばかり。技術的にはすでに「今日」のものなのだ。

 こうした最新の製品に見られる利便性は、黎明(れいめい)期においてともすれば「必要ない」と言われがちだ。しかし、たとえば電動アシスト自転車などを見ても分かるように、便利さや手軽さは、それが理解されコストさえ見合えば急激に普及していく。今回展示された機器や設備は今でこそ目新しさが感じられるが、そのうち“あって当然”というべきものになっているに違いない。

(取材・文/稲垣 宗彦)

PR

日経トレンディ 最新号案内

日経トレンディ
2019年2月号