仕組みだけを見ると単純に思えるが、この作品がグランプリを受賞した最大のポイントは、「強化学習」と呼ぶ機械学習のアルゴリズムを組み合わせることで、最も速く打ち返す方法を自ら学習するようにした点だ。会場ではデモンストレーションの動画を流しながら、学習の様子が紹介された(写真3)。

写真3 会場で紹介されたデモンストレーションの動画 2関節のアームが転がってきた黄色いボールを打ち返し、さらに壁に反射して戻ってきたところを打ちして、という動作を繰り返している
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 動画を見ると、アームの動きがあらかじめプログラミングされたワンパターンな動きではないことが一目で分かる。ボールの動きに応じて、アームの2関節が変化自在に動いてボールを打ち返しているからだ。動画はWebサイトで見ることができる。

 受賞した伊藤さんは、「ほかの受賞作品と違って、何の役にも立たない作品です」と謙遜する。だが自身はエンジニアで、今回の作品にも活用した人工知能に関連した仕事を手掛けている。「何もないゼロの状態から試行錯誤を繰り返して成長していく仕組みを開発することは、必ず将来の役に立つと信じています。その研究のためのプラットフォーム作りに、今回の作品を制作した経験を生かしたい」と、受賞の喜びを語った。伊藤さんには賞状と副賞の目録が、コンテストのイメージキャラクターを務めた黒田有彩さんから手渡された(写真4)。

写真4 グランプリを受賞した伊藤真さん
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