AI(人工知能)を利用した機器やサービスの発表が相次ぐ中、Webや新聞、雑誌などのビジネス系メディアで、映画やテレビドラマで大活躍の女優・橋本環奈さんがほほ笑む「AI秘書」のビジュアルを目にしたことはないだろうか。このサービスは、AIキャラクターが秘書のごとく仕事をサポートしてくれるというもの。そもそもAIはキャラクター活用と相性がいいという話もある。AI利用への関心が高まる中、開発元のNIコンサルティング・長尾一洋社長に話を聞いた。
――そもそも「AI秘書」はどんなサポートをしてくれるのでしょうか?
長尾一洋社長(以下、長尾氏):基本的には人間の秘書がやってくれるサポートと同様です。商談などの各種取引において、準備不足や漏れがないかなど、AI秘書がユーザーにやさしく教えてくれるイメージです。
例えば、スケジュール情報に基づき、明日訪問する先について、顧客情報や過去の取引履歴やクレーム情報、さらに先方のWebサイトでの更新情報などもAI秘書が読み取って、訪問時の活動に対して、「この案件、進捗が遅れていますよ」とか、「この製品の営業提案をする時期ではないですか」といったアドバイスをしてくれます。
また、具体的な取引案件の情報を入力していれば、過去にあった類似の商談情報の成功事例を提示して、商談をスムーズに進められるように導きます。
こうしたことは、人間でも優秀な人が時間をかけて整理すれば、自分自身でもできることかもしれませんが、日々情報を集める手間がもったいないですよね。従来、時間をかけて収集して、何らかの意思決定を伴うような作業を、AIが代わりにやってくれることで、人間は本来取り組むべき、重要な戦略を考える時間が生まれるわけです。
――橋本環奈さんをイメージキャラクターに使った「AI秘書」のビジュアルはインパクトがあります。
長尾氏:このAIを使った営業支援システムでは、ユーザーがシステムになじみやすいように、かわいらしい男女のキャラクターを採用しています。ちなみに、この手のシステムでキャラクターを利用したUI(ユーザーインターフェース)はうちだけです。
そのためプロモーションにも、どなたかイメージキャラクターを採用するのがいいのではないかと社内から提案がありました。そこで、製品リリース当時「千年に一人の逸材」というニュースで、そのかわいらしさに注目が集まっていた橋本環奈さんに、すぐさまオファーした次第です。2014年ですから、まだ彼女が中学から高校1年生に上がる頃かと思います。
評判は上々で、とりわけパートナー企業の若手の営業マンの方々から、“NIコンサルさん、結構いいセンスしていますね”と話題になりました。また、こうした宣伝効果だけではなく、システムに対してかわいらしいイメージを想起させる取り組みは、人間とAIとの関係上、大事なポイントなのです。