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 携帯電話の料金は4割程度下げる余地がある──。菅義偉官房長官の発言で揺れる携帯電話業界。料金の引き下げに向けた総務省の議論も始まり、2019年2月に中間報告がまとまる予定である。結論はまだ見えない状況だが、有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」で示された主要論点案から、今後の展開を占いたい。

モバイル市場の競争環境に関する主要論点案
MNOは携帯電話事業者、MVNOは仮想移動体通信事業者
1.事業者間の競争条件に関する事項
(1)接続料算定方式の適正化接続料算定方式の見直し
(2)接続料算定の透明性確保接続料算定の一層の透明性を確保するための施策の検討
(3)音声卸料金の適正性検証音声卸料金が適正に設定されているかの検証
(4)MVNOによる多様なサービスの提供IoT向けをはじめ、MVNOが多様なサービスを柔軟に展開できる接続料の設定など必要な措置の検討
(5)二種指定設備制度の適用UQコミュニケーションズとWireless City Planningに対する第二種指定電気通信設備の指定、ならびに二種指定設備制度の在り方の検討
(6)MNOによるネットワーク提供に関わるインセンティブ付与MNOがMVNOへのネットワーク提供に継続的に取り組むインセンティブを与えるような措置の導入の検討
2.利用者の理解促進に関する事項
(1)料金プランの理解容易性についての検証利用者に分かりやすいプランの在り方の検証、ならびに見直すべき点の検討
(2)利用者の理解促進のための施策拘束期間全体における通信料金と端末料金を合わせた総額提示を含め、利用者の理解を促進するための検討
(3)利用実態と契約している料金プランとの間のかい離過去の利用実績などに基づいた適切な提案に加え、さらに講ずべき措置の検討
3.利用者による事業者選択に関する事項
(1)利用期間拘束および自動更新を伴う契約の再検証スイッチング・コストを引き下げ、自由な選択を確保した期間拘束と自動更新の在り方の検討
(2)複数サービスの拘束期間複数サービスの円滑な乗り換えを可能とする措置の検討
4.利用者料金に関する事項
(1)利用しやすい料金プランの設定MNOの料金プランや端末購入補助の検証ならびに追加で取り組むべき施策の検討
(2)利用者料金の適切性確保のための体制整備 利用者料金などの状況を継続的にモニタリングする体制の整備
(3)利用者料金規制利用者料金の適正性の検証ならびに制度的に取り組むべき事項の検討
5.その他の検討課題
(1)モバイル検討会報告書フォローアップ「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の報告書に基づいた取り組み状況の確認ならびに追加見直しが必要な事項の検討
(2)将来的な検討課題5GやeSIM(Embedded SIM)の普及を含め、将来に予想される課題などの検討

端末と回線の完全分離が濃厚か

 携帯電話大手の料金引き下げについては懐疑的な見方も多いだろう。実際、2015年にも似たようなことがあった。安倍晋三首相が突如、経済財政諮問会議で携帯電話の料金引き下げに向けた取り組みの強化を指示。総務省はタスクフォースを設置して施策を検討したが、目に見える大きな成果があったとは言い難い。今回も同じような結果に終わる可能性がある。

 ただ当時と明らかに違うのは、2019年10月に消費増税を控え、携帯電話の料金引き下げを消費者の負担を減らす重要な施策と位置付けている節があることだ。2018年10月に議論を再開した政府の規制改革推進会議でも「携帯電話事業者の競争促進を通じた成長の果実の国民への還元の仕組みについて緊急に検討する」とした。

 菅官房長官は再三にわたって携帯電話大手の料金引き下げを言明し、完全に政治案件と化している。菅官房長官の顔に泥を塗るような決着は絶対に許されず、総務省には相当なプレッシャーがかかっているようだ。

 もっとも、総務省は携帯電話の料金について、1995年10月に認可制を廃止し事前届出制に緩和、2004年4月には事前届出制も廃止して原則自由化を決めた経緯がある。規制緩和の流れで料金には口出しできなくなっている。