2012年の創業以来、初めてのリニューアルが始まったダイバーシティ東京 プラザ(東京・お台場)。VRライド型アトラクション「hexaRide」とともにその目玉となるのが、体験型知育デジタルテーマパーク「Little Planet × XFLAG」だ。“慣れ親しんだいつもの遊びを未来の遊びに進化させるデジタル技術”を標榜するプレースホルダの「Little Planet」と、スマートフォン向けゲーム『モンスターストライク』などで知られるミクシィのXFLAG STUDIOによるコラボレーション。実に楽しい施設の完成となった。

「Little Planet × XFLAG」の外観。右手に受付カウンター、左手には物販コーナーがある
「Little Planet × XFLAG」の外観。右手に受付カウンター、左手には物販コーナーがある

子供から大人まで楽しめるエンターテインメント施設

 プレースホルダが展開しているLittle Planetは、言うなればデジタル技術で演出された児童公園のようなもので、「子供たちの“遊び”を“学び”に変える」というコンセプトの下に作られている。2018年11月1日に開催されたメディア向けの内覧会では、事前に招待された幼稚園児たちが自由気ままに遊ぶ姿を取材することができた。

 場内に設置された知育アトラクションには、プロジェクションマッピングをはじめとする最新のデジタル技術が散りばめられ、見た目はかなりハイテク。しかし、よく見ると、ボールプールや砂場、紙相撲に数字パズルと、身近な題材がベースになっているものばかりだ。

 特に人気が高かったのが、プロジェクションマッピングの技術を応用し、的当ての楽しさを付加したボールプール「ZABOOM」、自分で色を塗ったキャラクターをスキャンし、スクリーン上で戦わせる「PAPER RIKISHI」、プロジェクションマッピングを施した箱庭風の砂場で、隠れている生物を専用の虫眼鏡などで探したりするAR砂遊び「SAND PARTY」の3つ。

一目でボールプールと分かる「ZABOOM」は、初見の子どもが真っ先に飛びつくアトラクションだそうだ
一目でボールプールと分かる「ZABOOM」は、初見の子どもが真っ先に飛びつくアトラクションだそうだ
ボールが白一色なのは、スクリーンの役目を担っているため。壁に投影された映像目掛けてボールを投げる「的当て」も楽しめる
ボールが白一色なのは、スクリーンの役目を担っているため。壁に投影された映像目掛けてボールを投げる「的当て」も楽しめる
子どもたちに大人気だったデジタル紙相撲「PAPER RIKISHI」。まずは好きなキャラクターの塗り絵を完成させる
子どもたちに大人気だったデジタル紙相撲「PAPER RIKISHI」。まずは好きなキャラクターの塗り絵を完成させる
塗り終わった絵を所定の場所にセットしてボタンを押すと、スキャン開始
塗り終わった絵を所定の場所にセットしてボタンを押すと、スキャン開始
目の前の巨大スクリーンに自分が塗った絵がRIKISHIとして登場。バトルロイヤルを繰り広げる。各RIKISHIの強さは塗った色で決まる、とのこと
目の前の巨大スクリーンに自分が塗った絵がRIKISHIとして登場。バトルロイヤルを繰り広げる。各RIKISHIの強さは塗った色で決まる、とのこと
プロジェクションマッピングと砂遊びを組み合わせた「SAND PARTY」。専用のアイテムを使って、そのままでは見えない生物などを発見したり、地形を変化させて火山を作ったりといったことができる
プロジェクションマッピングと砂遊びを組み合わせた「SAND PARTY」。専用のアイテムを使って、そのままでは見えない生物などを発見したり、地形を変化させて火山を作ったりといったことができる
「SAND PARTY」には一応のミッションが設定されてはいるのだが、子どもたちは気にすることなく、自由に楽しんでいた
「SAND PARTY」には一応のミッションが設定されてはいるのだが、子どもたちは気にすることなく、自由に楽しんでいた

 これ以外のアトラクションも、遊ぶに当たって複雑な要素はほとんどなく、園児たちは戸惑うことなく思い思いのペースで楽しんでいた。その熱中ぶりに見ている取材陣の誰もが柔和な表情になっているのが印象的だった。

 園児たちの体験時間が終わった後、筆者もいくつかのアトラクションを体験したところ、細部まで心配りがなされていることに感心した。XFLAG STUDIOとのコラボでは、オラゴンをはじめとする『モンスターストライク』などのキャラクターがフィーチャーされているだけでなく、ボイスや音楽、視覚効果による演出など、スマートフォンゲームで培ったノウハウが各所に生かされている。

プレースホルダとXFLAGの“思惑の一致”が生み出す一体感

 XFLAG STUDIOとしては、スマートフォン用ゲームとして人気を博した『モンスターストライク』などの自社コンテンツを、カードゲームやアニメ番組などに展開していく中で、ファン層が“家族”に広がるのを実感していた。

 さらにファン層を拡大するため、「スマートフォンを持たない小さな子供にどう浸透させるか」を検討していく中で、知育などに目を向けたことが、お台場への新たな出店を計画していたプレースホルダとのコラボレーションにつながったのだそうだ。

 今回のLittle Planet × XFLAGについては、従来のLittle Planetで培ったプレースホルダのコンテンツやノウハウに、XFLAG STUDIOのキャラクターやボイス、音楽といった演出を追加。アトラクションの配置などに関しても両社で議論を重ねて実現したという。

 「議論はしながらも目指す方向は同じだった」――取材した関係者の言葉からは、内覧会で一心不乱に楽しむ園児たちの姿に確かな手応えと満足感を得たことがにじみ出ていた。

 各アトラクションは、基本的にデジタル技術で演出されているため、コンテンツのバージョンアップやリニューアルは比較的容易とのことで、実稼働後の様子を見ながら、期間限定イベントや季節に応じたタイムリーなイベントを盛り込んでいくことも検討しているという。

同じ色のクッキーを3つ以上つなげて消し、ハイスコアを目指す「CHAIN COOKIES」。ルールは単純だが、これだけ巨大なスクリーンで遊べるとそれだけで楽しくなる
同じ色のクッキーを3つ以上つなげて消し、ハイスコアを目指す「CHAIN COOKIES」。ルールは単純だが、これだけ巨大なスクリーンで遊べるとそれだけで楽しくなる
デジタル落ち葉遊び「DISCOVERY LEAF」。人が歩くと足下に投影された落ち葉が舞い散り、ときにはちょっとしたイベントが発生する
デジタル落ち葉遊び「DISCOVERY LEAF」。人が歩くと足下に投影された落ち葉が舞い散り、ときにはちょっとしたイベントが発生する
物販コーナーの奥にある「MAGIC GREETING」は、好きなキャラクターと一緒に写真が撮れる魔法の写真体験スペース
物販コーナーの奥にある「MAGIC GREETING」は、好きなキャラクターと一緒に写真が撮れる魔法の写真体験スペース
オラゴンをはじめとするさまざまなキャラクターのグッズが置かれた物販コーナーは、「LittlePlanet × XFLAG」に入場しなくても利用可能。XFLAG STUDIOのキャラクターショップとしての一面もある
オラゴンをはじめとするさまざまなキャラクターのグッズが置かれた物販コーナーは、「LittlePlanet × XFLAG」に入場しなくても利用可能。XFLAG STUDIOのキャラクターショップとしての一面もある

ダイバーシティ東京 プラザとしての顧客拡大につながるか?

 ユニコーンガンダムの実物大立像やガンダムカフェ、ライブハウス「Zepp DiverCity」などを擁するダイバーシティ東京 プラザは、他の施設との差別化に比較的成功しているショッピングモールだと言える。

 ただ、その個性的なコンテンツは、どちらかというと高めの年齢層へのウケが良い。そういう意味で、ファミリー層に強くアピールするLittle Planet × XFLAGにかかる期待は大きく、だからこそ、幼稚園児を招くという力の入った内覧会になったのだろう。実際、その期待に応えられるだけのものがあると筆者はみる。園児たちが夢中で遊ぶ姿からも、自身が遊んでみた上でも、この施設は本当に楽しいと思えたからだ。

 子供連れでないとちょっと入りづらいと思うが、機会があればぜひ体験してほしい。料金は子供(0~17歳)が60分1400円、15分の延長につき300円なのに対し、大人(18歳以上)は60分900円、15分の延長につき100円と、料金面では大人のほうがお得に遊べるのも事実なのだ。

(文/稲垣宗彦、写真/酒井康治)

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