富士通クライアントコンピューティングは2018年6月、小学生向けのノートパソコン「LIFEBOOK LHシリーズ」を発売した。タブレット形状にもなりペン入力に対応する「2 in 1」の上位モデル「LIFEBOOK LH55/C2」(10月下旬時点での実勢価格は税別で約9万円)と、一般的な「クラムシェル」の形状の「LIFEBOOK LH35/C2」(同約7万円)の2モデルを用意している。製品には、子供向けのマニュアルやローマ字入力の方法を記載した「ローマ字入力表」などを添付。プログラミングなどを学べるオンライン学習サービス「FMVまなびナビ」を一定期間無料で利用できる特典を用意している。

 発売後のLHシリーズの手ごたえと今後の戦略について、同社の執行役員 コンシューマ事業本部副本部長の吉田慎二氏とコンシューマ事業本部 コンシューマ事業部 第一技術部 マネージャーの竹内京太郎氏に聞いた。
(聞き手=PCメディア編集部 中野 淳)

上位モデルの「LIFEBOOK LH55/C2」。タブレット形状にもなりペン入力に対応する
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下位モデルの「LIFEBOOK LH35/C2」は、一般的なクラムシェルのノートパソコン
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——LHシリーズの狙いは何ですか。また、販売後の反響はどうでしょう。

吉田氏:「はじめての『じぶん』パソコン」というキャッチフレーズが表しているように、「自分が初めて買ってもらったパソコン」というジャンルを作りたいという思いで、LHシリーズを製品化しました。子供の「ワオ」という体験を作り出して、パソコンに慣れ親しんでほしいという思いを込めています。

 いろいろなイベントを開催している中で、実際にLHシリーズに触れた人たちからは「いいですね」「こういう製品が必要ですね」という声をいただいています。製品を出した手ごたえはかなりあります。

 2020年度から小学校でプログラミング教育が必修になることは、まだ一般的に知られていません。このことをご存知の方は、LHシリーズを店頭で指名していただくこともあります。売れ行きについては理想的な数字までは行っていませんが、じわじわと長い目で見て根付かせていきたい製品だと位置付けています。必ず流れは来ると考えています。2020年度に向けて、LHシリーズの認知度の向上に努めていきたいと思います。

富士通クライアントコンピューティング 執行役員 コンシューマ事業本部副本部長の吉田慎二氏
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タブレット形状の「LIFEBOOK LH55/C2」
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——CPUはCeleronでOfficeソフトを搭載していません。小学生向けに、高いスペックやOfficeソフトは不要ですか。

竹内氏:子供に買い与えるパソコンの適正な価格帯について、社内アンケートでは10万円前後と5〜6万円という2つの山がありました。ここに合ったパソコンを作れないかということで、上位モデルと下位モデルを製品化しました。

 LHシリーズのスペックは、LIFEBOOKの通常ラインアップの「AHシリーズ」と同等です。子供向けのプログラミング言語の「Scratch」や当社が提供しているプログラミング学習サービスを利用するには十分なスペックだということを確認しています。Officeソフトを搭載していないことに対しては、お客様からは特に否定的なコメントはいただいていません。Office系ソフトは、Webサービスで無料のものもありますので、それを使っていただければと思います。

コンシューマ事業本部 コンシューマ事業部 第一技術部 マネージャーの竹内京太郎氏
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——小学生向けにどういう工夫がありますか。

竹内氏:LHシリーズには、「安心」「育てる」「楽しい」というコンセプトがあります。「もっともっとお客様に寄り添った商品を」ということで、LHシリーズは実際のお客様の姿を開発に反映しました。具体的には、プログラミング教室や量販店のイベントでの子供の様子、社内でのユーザー調査の結果を開発に生かしました。

 開発に当たって一番こだわったのは、スピーカーを搭載した「センターバーヒンジ」です。クラムシェルタイプのノートパソコンだと、キーボードの奥にスピーカーを配置するのが一般的です。ところが、この配置だと「2 in 1」で折りたたんで使うと、ディスプレイの背面にスピーカーがきてしまいます。LHシリーズは、本体とディスプレイをつなぐセンターバーヒンジの中にスピーカーを配置することで、どのような形状でも利用者に向けて音が出るようにしました。

 こうした形状にすると、子供がヒンジ部分をつかんでパソコンを持ち上げるかもしれません。開発時には、ヒンジ部分を持つとたわみが生じる問題が発生したため、補強板を追加する対策を施しました。また、音質強化のためにセンターバーの狭いスペースの中に、ボックススピーカーを収めています。

 ノートパソコンは、「薄さ、軽さ」と「堅牢性」のバランスが大切です。LHシリーズは子供が使うということで、堅牢性を重視しました。本体の周囲には、ラバー素材の滑り止めを付けています。また、ディスプレイの背面には「リアカメラ」を搭載したので、子供が画面を見ながら撮影することができます。

 LHの開発に当たって、事前に社内でアンケート調査を実施したところ、「子供はものをかたづけない」という声を頻繁に聞きました。そこで、子供が自らパソコンをかたづけたくなるように。パソコン本体や電源ケーブル、マウスなどを収納できる専用のケース「お道具箱」を用意しました。ものをかたづけるところまで考えたパソコンです。お道具箱自体の堅牢性を保つために、取っ手の強度試験やファスナーの開閉試験なども実施しました。

ディスプレイ部分と本体部分の間の「センターバーヒンジ」にスピーカーを内蔵。折りたたんだ状態でも、音を聞こえやすくしている(写真はLH55/C2)
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本体の周囲には、ラバー素材の滑り止めを装着している(写真はLH55/C2)
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LHシリーズを収納できる専用ケース「お道具箱」
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製品に付属している子供向けのマニュアル
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ローマ字入力の方法を記載した「ローマ字入力表」も付属
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——子供向けの学習サービス「FMVまなびナビ」もスタートしました。

吉田氏:複数のサービス会社と連携して、7月26日にオンライン学習サービス「FMVまなびナビ」をスタートしました。タイピング練習、学校教科のドリル学習、オンライン英会話、プログラミング学習などのコースを用意しています。LHシリーズには、各コースを一定期間無料で利用できるなどの購入者特典が付いています。

 ドリル形式で各教科の内容を学べる「学研 スマートドリル」は、紙のドリルと同様にペンでの回答入力が可能です。上位モデルの「LH55/C2」だと、タッチペンで利用できます。

プログラミングなどを学べるオンライン学習サービス「FMVまなびナビ」。LHシリーズには、一定期間無料で利用できる特典が付いている
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