子どものころ、誰もが夢中になったウルトラマン。そのウルトラマンがVR(仮想現実)になって帰ってきた。メガホンを取ったのはテレビシリーズ『ウルトラマンX』『ウルトラマンオーブ』などでメイン監督を務めた田口清隆監督。自身も初めてVR作品に挑戦した田口監督に聞いた“360度特撮”の醍醐味とは?どうしても撮ってみたかったシーンとは?

 長きにわたるウルトラマンシリーズで初めての360度VR作品が完成した。『ウルトラマンゼロVR』『ウルトラファイトVR』だ。10月1日から、全国のインターネットカフェやマンガ喫茶、ホテルなどに設置された「VR THEATER」で視聴できる。

 『ウルトラマンゼロVR』では、東京・港区のオフィス街に突如、宇宙怪獣エレキングが出現。ウルトラマンゼロとの戦いが始まる。頭上で繰り広げられるバトル、崩れ落ちるビル。子どもの頃から見てきたウルトラマンの世界に、自分自身が入り込んだような感覚を味わえる。巨大なウルトラマンゼロや怪獣は大迫力で、記者は「おお~」とか「ほおっ!」とか言いながらニヤニヤしてしまった。

『ウルトラマンゼロVR』。オフィス外でウルトラマンゼロとエレキングが対決。体験時間は6分40秒。視聴料は600円(別途機材使用料400円が必要)
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『ウルトラファイトVR』。かつての「ウルトラファイト」をVRで再現。体験時間は6分。視聴料は600円(別途機材使用料400円が必要)
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 一方の『ウルトラファイトVR』は、1970年に放送したテレビ番組『ウルトラファイト』をVRでリメイクした。ウルトラファイトは、何もない野外でウルトラマンや怪獣がひたすら格闘し、それにプロレス風の実況が付くという、どちらかというとコメディー色が強い5分間番組。今回のVR版では、ウルトラセブン、ウルトラマンゼロの親子が、ガッツ星人、イカルス星人と戦い、オリジナルと同じ山田二郎氏が当時の雰囲気そのままの実況を付けている。

いずれの作品も「Gear VR」を装着して視聴する。ヘッドマウントディスプレーの下でニヤニヤしています
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 特撮に付きもののミニチュアや光線などは登場しないが、一定以上の年齢層は懐かしさで胸が熱くなるようだ(事前の完成披露試写会で体験した人たちは盛り上がっていた)。記者のようにウルトラファイトを知らない世代にとっても、ややシュールな展開と、ミニチュアセットを使わないからこそできる自由なカット割りが楽しい。

事前の完成披露試写会にはウルトラセブン、ウルトラマンゼロ、映画監督の辻本貴則氏がゲストとして登壇
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 見る人にとっては楽しいこのVR版ウルトラマンだが、撮るほうにはいろいろな苦労や工夫があるはず。ミニチュアセットをはじめ、カメラの裏でいろいろな仕掛けを凝らす特撮にとって、360度、全方位が写ってしまうのはやっかいだろうと思うからだ。

 そこで、2つの作品で監督を務めた田口清隆監督、円谷プロダクション、ポニーキャニオンとともに製作に名を連ね、VR版ウルトラマン用にオリジナルの360度カメラを開発したejeの三代千晶社長に話を聞いてみた。次ページから、作中画像もたっぷり掲載して紹介する。

田口清隆監督とejeの三代千晶社長
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