シャープは2018年10月3日、ハイエンドスマートフォン「AQUOS zero」、スタンダードモデル「AQUOS sense2」の2製品を発表した。いずれも2018年冬モデルとして発売する予定。
ハイエンドスマホは2シリーズを展開
AQUOS zeroはシャープが自社開発した6.2型有機ELディスプレーを搭載し、大容量バッテリーを搭載しつつ約146gと軽く強度の高いボディーが特徴。同社では、6型以上・バッテリー容量3000mAh以上のスマートフォンでは世界最軽量としている。また高い処理性能やステレオスピーカーを備え、ゲームや動画再生にも向くとしている。背面のカメラはシングルカメラでイヤフォンジャックは搭載しない。
シャープはすでにハイエンドスマートフォンとして「AQUOS R」シリーズを展開している。最新モデルは背面に静止画撮影用と動画撮影用の2つのカメラを搭載する「AQUOS R2」だ。同社では、AQUOS Rシリーズは多機能で高画質な広く一般向けのハイエンドスマートフォンであり、AQUOS zeroは高い処理性能と高画質・高音質によりゲームや動画を楽しみたいユーザーや最新ガジェット好きに向いたハイエンドスマートフォンであると位置付け、両方を展開していく。
製品発表会でシャープ通信事業本部 中野吉朗本部長は「ハイエンドのAQUOS R2の販売は好調。スタンダードのAQUOS senseもシリーズ累計200万台を超え、2018年上期はAndroidスマートフォンシェア1位を獲得した」とスマートフォン事業の好調ぶりをアピール。「冬モデルでは国産有機ELディスプレー搭載のAQUOS zeroを投入するなどディスプレーに注力し、ユーザーの選択肢を広げる。2020年にはAndroidスマートフォンでシェア40%超えを目指す」と意気込みを語った。
国産有機EL搭載の軽量ハイエンドスマホ
AQUOS zeroの有機ELディスプレー(解像度2992×1440ドット)は、高いコントラストと広い色域による画質が特徴。中央に向かって緩やかにカーブする曲面形状で、これにより指の動きにあった自然なタッチ操作ができるとしている。
ハイエンド機中心に有機ELディスプレー搭載スマートフォンは増えてきたが、いずれも韓国メーカーのパネルを採用している。AQUOS zeroは日本メーカーが自社開発・生産した有機ELディスプレーを搭載した初のスマートフォンであり、注目の存在だ。
また、最近はスマートフォンの画面サイズが大きくなるにつれて重い製品が増え、6型スマートフォンだと200g前後が平均だ。それらに比べて6.2型で146gというのは非常に軽い。実際に手に持ってみるとその軽さに驚かされる。重いことが当たり前になっているハイエンドスマートフォンにおいて、軽量化というアプローチは新鮮であり、今後こうした軽さを特徴とした製品が増えるかもしれない。
この軽さは、バックライトが不要な有機ELディスプレー、アルミより軽いマグネシウム合金製のフレーム、軽いバックパネルなどにより実現したもの。バックパネルは鉄の5倍の強度があるというアラミド繊維を編み込んだもので、軽いだけでなくボディーの堅ろう性も高めている。
軽く強いだけでなく、放熱性能にも気を配っている。シャープでは、電源に接続して充電しながらゲームや動画を楽しむユーザーが多いとして、充電ICを2つ搭載して並列で使用することで充電時の発熱を低減した。バッテリー容量は3130mAhだ。
スペックの高さも特徴で、プロセッサーにはQualcommのプロセッサーの中でも上位の「Qualcomm SDM845」を搭載。そのほか6GBメモリーや128GBのストレージなどを搭載する。処理性能が高く、軽く持ちやすく、熱くなりにくいため、手に持って長時間ゲームや動画を楽しむのにちょうどいいスマートフォンといえそうだ。
スタンダードモデルは使いやすさ重視
「AQUOS sense2」は、Androidスマートフォンのスタンダードモデルとして人気のAQUOS senseの後継モデル。5.5型で縦長のIGZO液晶ディスプレーを搭載。従来モデルより表示領域が広く、輝度や画質も向上しているが、消費電力は低減されている。
カメラは撮影シーンをAIで自動判別して最適な撮影モードを選択する機能が特徴。そのほか防水対応、指紋認証と顔認証対応など、使い勝手を重視。スマホに不慣れな人向けに簡単に操作ができるモードも備える。法人向けの長期サポートも用意しており、スマホの採用が増えてきた法人向け需要の取り込みも狙い、シェア拡大につなげたい考えだ。
(文/湯浅英夫)