ゲームショウにVR(仮想現実)/AR(拡張現実)タイトルが増え始めて3年ほどが経った。一口にVRといっても、PCのSteamで配信するハイエンド向けやスマートフォン向け、Oculus Goなどの単体デバイス向け、Play Station VRのようなコンシューマー向け、アトラクション施設向けのロケーションVRなど、市場と展開方法が多様化している。
この記事ではこれらさまざまなタイトルが出展されているVR/ARコーナーのなかから、いくつか“今年らしいタイトル”を紹介していく。
作り込まれたビジュアルが魅力、DeNA「VoxEL」
当初のVRコンテンツはゲームとしてのアイデア重視のタイトルが多かったが、今年の東京ゲームショウではコンシューマー向けタイトル並みに作り込まれたタイトルも増えてきている。
VoxELは、DeNAがあまたと共同開発中の謎解き&バトルゲームだ。今後は海外市場を主眼にして展開を検討していくという。
著名クリエイターとファンディングで開発、「東京クロノス」
MyDearestが開発、映画『楽園追放』のモーション監督・柏倉晴樹氏や、「ソードアート・オンライン」プロデューサーの三木一馬氏などが参加する、VRアドベンチャーゲーム。クラウドファンディングのKickstarterとCampfireで合計約1800万円を集めている。当初から海外展開も前提に動いており、今後の進捗が気になるタイトルだ。
クラウドファンディングでVRタイトル出展「MakeS VR」
同じクラウドファンディングでも、ヘキサドライブの「MakeS VR」は、iOS/Android用アプリ「MakeS - おはよう、私のセイ-」に対するクラウドファンディングで3060万2075円を集め、東京ゲームショウ限定のVR化を実現したタイトルだ。
既存IPを用いた限定VRタイトルは珍しくない。だがファンの熱意から、東京ゲームショウ2018出展とVRコンテンツ化というリアルとバーチャル両方のイベントが同時に実現し、ファンと達成感を共有したタイトルというのはかなり珍しい事例だろう(関連記事「会場限定でVR化!乙女アプリ『MakeS - おはよう、私のセイ-』【TGS2018】」
Gugenkaは、アニメやVTuberの魅力を引き出すタイトルを制作
Gugenkaは、人気VTuber「東雲めぐ」ちゃんのトークライブのほか、「ゲゲゲの鬼太郎」や「この素晴らしい世界に祝福を!」のVRコンテンツなど、VTuberも含めて今年らしいIPのコンテンツを展開している。
また、東雲めぐのデザインテイストと世界観の3DCGアバターを作成できるアプリ「MakeAvatar」を出展。冬ごろにiOS向けに展開予定で、作成したアバターはUnityを通じてVRChatなどでの利用もを想定しているという。
さらにイベント向けのシステムとして作成したアバターを利用できる「AvaMeets」も出展。IPアバター作成ツールは自由さがウリになりがちだが、キャラクターの世界観を維持することで、利用者の安心感や愛着を得られそうだ。
ロケーションVRのゴーグル離れ?「VR ROOM システム」
クラウドクリエイティブスタジオの手掛ける、ロケーションVR向けのプラットフォーム「V-REVOLUTION」では、VRゴーグルを利用するだけでなく、VRゴーグルを利用せず室内でマルチプレーを可能にする「VR ROOM システム」も手掛けている。
ロケーションVRを展開する際、女性が多いと髪形を気にしてVRゴーグルが敬遠されやすい。同システムは、そうした場所を想定して開発されたという。没入感や立体感は下がるが、プレー内容が理解されやすいなどVRゴーグルにない利点も多い。
(文・写真/島徹)