東京ゲームショウと聞くと、大手メーカーの人気ゲームや、VRやeスポーツなど高度なコンピュータ技術を活用したゲームにばかり目を奪われがち。だが、せっかく来たのだから、時間のある限り小さなブースにも目を向けてみよう。きっと新しい発見があり、ゲームというジャンルの奥深さや可能性を感じることができるだろう。

 「そう言われても、あまりにたくさん小さなブースがあるし、全部を見て回る時間なんてとてもない」――。そんな人には、たとえば展示ホール3にある電玉ブースをのぞいてみることをお勧めしたい。伝統玩具である「けん玉」とコンピュータゲームを組み合わせた「電玉(でんだま)」をデモしている。

電玉ブース(展示ホール3)
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 電玉は、各種センサー類や振動用モーター、マイクロプロセッサなどを内蔵した特製けん玉と、センサーからのデータをリアルタイムに読み取るスマホ向けアプリ(Android/iOS対応)で構成する。

各種センサー類を内蔵した特製けん玉とスマホアプリで構成する
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 特製けん玉の三つの皿(大皿、中皿、小皿)および剣先部分には金属検知センサーを内蔵しており、アルミ製の玉が皿に入ったり剣先に収まったりしたことを検知できるようになっている。加えて、けん玉本体(けん)の傾きを検知するセンサーも搭載しており、通常とは逆の「玉を持ってけんを受け止める技」なども正しく認識できる。

ブレていて見づらいが、皿部分にはセンサーだけでなくLEDも搭載しており、技が決まると光るようになっている
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 スマホアプリ側では、センサーから受け取ったデータを、けん玉技の判別や成否の判定に使ったり、スマホ上で動くゲームの操作情報として利用したりする。アプリ内には、一人でけん玉の上達を目指すための練習ゲームから、2台の電玉を使って対戦するゲームなど、さまざまなゲームが用意されている。

 ゲームは少しずつ増えているが、最近(2017年夏前くらい)、必要性に気付いて追加したのが「協力型ゲーム」だという。「当初は、単純に2人で勝負できれば面白いだろうと考え、対戦型ゲームのみを用意していました。ところが、小学校の児童に遊んでもらった際、けん玉が上手な児童が常に勝ってしまい、負けた児童が遊ぼうとしなくなる事態に遭遇したんです。そこで、実力差があっても一緒に遊べるゲームを追加しようという話になりました」(電玉の末原聡CFO)。

最近追加した「協力型ゲーム」。二人で協力して次々と襲いかかってくる敵を倒していく
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 あらゆるモノがインターネットにつながるようになるIoT(モノのインターネット)の世界。IoTがけん玉という大正時代からある伝統玩具(注:けん玉自体の歴史はもっと古く、海外発祥とされているが、今普及している形のけん玉「日月ボール」は大正時代に広島で誕生した)と組み合わさると、遊びの幅やできることが一気に広がる。

次々と難しいけん玉技を繰り出す末原聡氏。空いているときなら、けん玉のコツなども教えてくれるかも?
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 ビー玉やおはじき、お手玉など、他の伝統玩具にも同じようにセンサーや通信機能を組み込んでIoT化したらいったいどんなことができるだろうか。電玉自体だってまだまだ発展の可能性を秘めているはずだ。そんな未来をあれこれ想像しながらブースを後にした。

(文・写真/斉藤 栄太郎=nikkei BPnet)