VR(仮想現実)やAR(拡張現実)は、まだまだ発展途上の技術だ。もちろん、ゲームや業務用アプリを効率よく開発・提供できるデバイスやプラットホームも重要だが、まだ走り出したばかりのVRやARを社会に根付かせるには、さらなるリアリティーの再現や拡張についての研究・開発が必要だ。
この記事では、東京ゲームショウ会場で見かけたVRやARなどxR技術の新提案を紹介していく。
トヨタ紡織、ティアフォー、シナスタジアの車内空間コンテンツ
シナスタジアは、自動運転プラットホームを手掛けるティアフォーの子会社。同社のブースでは、車内内装を手掛けるトヨタ紡織、ティアフォー、シナスタジアの3社による将来の自動運転をイメージしたVRコンテンツを出展している。
出展内容はVRゴーグルを装着して、国営ひたち海浜公園や横浜のドライブを疑似体験するというもの。エンターテインメントやAR要素も含んだもので、助手席のサファイアの案内を聞く場面もある。
これらは今後、自動運転などが実用化される時期になると、車内の内装や情報表示の方法が変わっていくという想定の基に開発したとのことだ。
ビーライズ、広島市立大学と共同研究のライドマシン展示
ビーライズは、広島に拠点を置く企業教育用のVRコンテンツやシミュレーターに強みを置く企業。今回、広島市立大学 脇田航助教と共同開発中の体感デバイスを展示。B2Bだけでなくゲーム業界向け用途を提案している。
ライドマシンはすでに納入実績のあるデバイスで、稼働する座面を球面上にすることで、座席をアクチュエーターのみで制御するよりも滑らかな動作と、より安全な運用を可能にするという。
歩行デバイスは現在開発中で、VR空間内の足を使った移動をその場の足踏み動作でより自然に再現できるデバイスだ。
CoolSo、筋音図による低コストな手の動きの検知デバイス
台湾CoolSoは、腕の筋肉の振動の筋音図を利用した、指や手の動きの検知デバイスを展示している。
これまで、筋電図を利用して手の動きを認識するデバイスはあった。だが、手に金属の接点を密着する必要があるほか、製造コストがやや高いという問題があった。だが、筋音図なら装着の精度がそこまで要求されないほか、製造コストも20ドル程度に抑えられるという。
ポケット・クエリーズ、MRでの点検・管理を東京電力HDと研究
ゲームの開発・運営のほか、MR技術の開発・研究に力を入れているポケット・クエリーズは、東京電力HDと進めているMR技術を活用した点検・管理の技術を出展。
マイクロソフトのHololensを活用して、目の前にある設備の点検・簡易ノウハウを空間上に投影し、手順を指示するものとなっている。目的として、管理・点検のノウハウを管理することで、技術者の引退などによるノウハウの断絶を防ぐほか、地方の施設点検などは地方の技術者にノウハウを伝える仕組みを作り、ベテラン任せにならないよう人的リソースの有効活用を促すという。
(文・写真/島徹)