毎年、国内外から多士済々なゲーム開発者やパブリッシャーが所狭しと集まり、たくさんのゲームが出展される「インディーゲームコーナー」。その中でも、今回筆者が特に気になったゲームのひとつが、サウザンドゲームズブースに出展されていた『シナプティック・ドライブ』というロボット対戦アクションゲームだ。

 本作は、プレイヤーが任意にカスタマイズしたロボットを操り、相手プレイヤーが操作するロボットと1対1で対戦するというもの。まだ開発中で未完成の状態ではあったが、サイバー空間を舞台にガンやトラッカー(追尾弾)、ワイヤーなど、ロボットならではの多彩な攻撃が繰り出せる面白さは、すでに十分に備わっている印象を受けた。

 会場内では、本作の開発者である見城こうじ氏にお会いすることができた。見城氏は、かつてナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)で『コズモギャング・ザ・ビデオ』『コズモギャング・ザ・パズル』などのアーケードゲーム開発を手掛け、ノイズ時代には『カスタムロボ』シリーズのディレクションを担当するなどこれまでに数多くのゲームを世に出した実績を持っている。現在はフリーの開発者として活躍中の同氏に、本作ならではの楽しみ方や今後の展開案などを伺ってみた。

『シナプティック・ドライブ』の開発者、見城こうじ氏(サウザンドゲームズブース前にて撮影)
『シナプティック・ドライブ』の開発者、見城こうじ氏(サウザンドゲームズブース前にて撮影)
サウザンドゲームズブースの全景
サウザンドゲームズブースの全景
壁面にはロボットのイラストを展示。野生の猛獣を想起させるデザインの機体も登場するようだ
壁面にはロボットのイラストを展示。野生の猛獣を想起させるデザインの機体も登場するようだ

――『シナプティック・ドライブ』を開発しようと思ったきっかけを教えてください。

見城氏: 自分が一番好きな、対戦ゲームを作りたいなと思ったことですね。企画自体は1年以上前から考え始めていまして、自身が作りたいものとしてあった『シナプティック・ドライブ』いうゲームに対して、サウザンドゲームズさんがサポートをして下さるという形で開発しています。

――本作はどのようにして遊ぶゲームなのか、詳しいご説明をお願いできますでしょうか。

見城氏: 限定されたフィールドの中で、1対1で対戦するシューティングアクションゲームです。キャラクターの部位や装備を、プレーヤーが自由に装備をカスタマイズして戦えるのが大きな特徴ですね。幅広い層のプレーヤーに遊んでもらえるようにすることと、それから海外への展開も考えていますので、デザインが海外でも違和感が出ないようなものを目指して作っています。

キャラクターの選択画面。ボディを変更すると、見た目も性能も大きく変化するようだ
キャラクターの選択画面。ボディを変更すると、見た目も性能も大きく変化するようだ
こちらはワイヤーと呼ばれる武器を選択しているところ。ほかにも多くの武器が存在する
こちらはワイヤーと呼ばれる武器を選択しているところ。ほかにも多くの武器が存在する
対戦の部隊となるフィールド。かなりコンパクトなため、接近戦が随所で繰り広げられることになるかも?
対戦の部隊となるフィールド。かなりコンパクトなため、接近戦が随所で繰り広げられることになるかも?

――ガンのほかにも、追尾弾やワイヤー攻撃など、武器の種類がたくさんありますね。

見城氏: はい。特に大きな特徴があるのがワイヤーで、発射後にスティックで軌道を自由に動かすことができるようになっています。一定の時間が経つと爆発しますが、ボタンを押すと自分の好きなタイミングで爆発させることもできますよ。ワイヤーと追尾弾を合わせて使って、相手の進路を塞ぐのが重要なポイントですね。どんどん相手の動ける道を塞いで追い込んでから、とどめの攻撃としてガンや体当たりを使うといった戦い方ができます。

――いろいろな武器を組み合わせて使うことで、ゲームがどんどん面白くなると。

見城氏: 単独ではなく、いろいろな武器を組み合わせることで将棋やチェスみたいに相手を詰めていくわけですね。それから、まだ実装はされていないのですが、スティックを押し込むと必殺技が出せるようにすることなども考えています。ボタンやスティック操作を駆使した、戦略的な対戦ゲームになるように作っていきたいですね。

画面左側のロボットがワイヤーを放ったところ。アナログスティックで軌道を自在に変えることができる
画面左側のロボットがワイヤーを放ったところ。アナログスティックで軌道を自在に変えることができる
ワイヤーは一定時間後に爆発するが、ボタン操作で任意のタイミングで爆発させることも可能
ワイヤーは一定時間後に爆発するが、ボタン操作で任意のタイミングで爆発させることも可能

――今回の出展版の対応プラットフォームは?

見城氏: PCですね。Steamなどで配信できればいいなと考えています。

――BGMなど、各種サウンドを作曲しているのは誰でしょうか?

見城氏: サウンドの制作は、スーパースィープ(※)さんにお願いしています。

※筆者注:都内にある音楽・映像メディアの制作会社。 代表取締役は、元ナムコで「リッジレーサー」シリーズなど数多くのゲームで作曲を手掛けた細江慎治氏。


――将来的には、eスポーツへの展開も視野に入れているのでしょうか。

見城氏: eスポーツありきで始めたわけではありませんが、もちろん考えています。まず何よりも、対戦ゲーマー同士のコミュティが盛り上がるようにすることが第一で、それからeスポーツの競技種目に選ばれて、さらに盛り上がるようになれば嬉しいですね。

――発売時期はいつ頃になりそうですか?

見城氏: 実はパブリッシャーがまだ決まっていないのですが、もし決まれば来年中には出したいですね。現在、パブリッシャーになっていただける方を募集中です。

――つまり、今回の出展は一般ユーザーへの宣伝だけでなく、パブリッシャーを見付けることも大きな目的だったわけですね。

見城氏: はい、そうです。『シナプティック・ドライブ』は、私のゲーム対する長年の思いが込められた、ほかに似た作品が全然ない、唯一無二のゲームではないかと思っています。もしご興味をお持ちのパブリッシャーさんがいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。購入した方を絶対に後悔させないようなゲームにしたいと思いますので、ぜひご期待ください。

 開発者自らが、「唯一無二」と話す新作対戦ゲームの『シナプティック・ドライブ』。ぜひ遊んでみたいという人は、9ホールのインディーゲームコーナーに足を運んでみよう。

サウザンドゲームズブース内では見城氏のインタビュー映像も見られる。インディーゲームコーナーへ足を運ばれる方は、ぜひご視聴を
サウザンドゲームズブース内では見城氏のインタビュー映像も見られる。インディーゲームコーナーへ足を運ばれる方は、ぜひご視聴を

(文・写真/鴫原盛之)

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