ホール7にあるPUBGブースのステージでは9月21日の11時から「PUBG e-Sports カンファレンス」が開催された。PUBG Corp.のCEOであるキム・チャンハン氏、同社TOKYO OFFICE室長の井上洋一郎氏、DMM GAMESの最高経営責任者の片岸憲一氏らが登壇。PUBG Corp.としてのeスポーツへの取り組みなどを明らかにした。

ホール7のPUBGブース中央にあるメインステージにて、「PUBG e-Sports カンファレンス」が開催された。まさに明日22日にここを舞台にPJSのシーズン1が開幕するのだ
ホール7のPUBGブース中央にあるメインステージにて、「PUBG e-Sports カンファレンス」が開催された。まさに明日22日にここを舞台にPJSのシーズン1が開幕するのだ

 最初に登場したのはCEOのキム・チャンハン氏。まずはTGS2018にブースを構えることができるくらいい日本でバトルロイヤルゲーム「PUBG」が受け入れられていることへの感謝を述べた。

 広大なフィールド内で戦闘が散発する「PUBG」は、eスポーツ用のタイトルとしてはいくつものハードルがあった。だが、現在では多くの大会が開催されるまでになり、先日もドイツでプロゲーマーによる世界大会が開催された。インターネット配信ではあるが、全世界の1億人以上が視聴するなど、大成功を収めたという。

まずはPUBG Corp.のCEO、キム・チャンハン氏が「PUBG」の現状などをスピーチ
まずはPUBG Corp.のCEO、キム・チャンハン氏が「PUBG」の現状などをスピーチ

 日本ではDMM GAMESをパートナーに「PUBG」のリーグ戦「PJS」のαリーグとβリーグが開催中だ。DMM GAMESの片岸憲一氏は、リーグの配信を通じて、より多くの人にPUBGの門戸を開くべく試行錯誤したこと、これに「PUBG MOBILE」のリリースなどの後押しもあり、視聴者数が著しく増加していると説明。今ではAMDやサントリー、ビックカメラなど、10数社の企業がスポンサーとして協力するようになったという。

 この結果、「PJS」はPUBG Corp.が公式に認定した国内リーグとして開催される。片岸氏は、このPUBG特設ブースにて記念すべきシーズン1が明日(22日)より開幕されること、シーズン1では20チーム総勢80名による戦いが繰り広げられることを明らかにした。世界大会に選手を輩出するほど高いレベルでリーグを運営してきたと自負するDMM GAMESは、PJSが世界を代表するリーグとなることを目標に掲げると宣言した。

DMM GAMESの片岸憲一氏は同社が取り組んできたPJSの実績と、それが認められ、改めて公式リーグとして開幕する運びとなったことを報告
DMM GAMESの片岸憲一氏は同社が取り組んできたPJSの実績と、それが認められ、改めて公式リーグとして開幕する運びとなったことを報告

 DMM GAMESではPJSに参加するチームと企業をマッチングすることにより、選手の収入の安定と自立できる仕組みをサポートしていく方針であり、またリーグの興行化にも取り組んでいく計画だ。

 続いてステージに現れたのは、PUBG Corp. TOKYO OFFICE 室長の井上洋一郎氏。PUBG JAPANは「PUBG」がeスポーツとして日本にさらに受け入れられるべく活動を開始すると語った。年間3シーズンを予定している国内最高峰のPJSでは、配信だけでなく、選手のプレーを直接観戦できる環境の提供に注力するという。明日から開催されるシーズン1は、まさにその第一弾としての意味を持つわけだ。

PUBG JAPANが日本のeスポーツ振興に向けて打つ施策などを発表したPUBG JAPAN TOKYO OFFICEの室長、井上洋一郎氏
PUBG JAPANが日本のeスポーツ振興に向けて打つ施策などを発表したPUBG JAPAN TOKYO OFFICEの室長、井上洋一郎氏

 また、PUBG JAPANとしては、トップチームが活躍できる場を広げるため、多様な大会を公認大会として規模に応じて支援する方針を発表。「PUBG」の大会を企画している企業は、PUBG JAPANに提案してくれるよう呼びかけた。現状は4人一組で戦うSQUADの大会のみだが、来年からは1人で戦うSOLO、2人で戦うDUOの正式な大会も計画中とのことだ。

 ここから話題は2019年に開催予定の大会へと移っていった。2019年からは複数の公認大会で得たポイントを集計し、最終的に世界大会に出場できる選手を選出していく予定であるという。各大会で得られるポイントは大会規模に応じて変わり、大きな大会であるほど高ポイントが獲得できるシステムとのことだ。

 もちろん、すべての「PUBG」の大会が公認となるわけではない。PUBG JAPANによる慎重な審査の結果、公認された大会だけがポイントシステムの対象になる。今までも様々なコミュニティーが「PUBG」の大会は開催してきたが、来年からはこうした大会にも公認の資格が与えられるチャンスがあるわけだ。

 来年以降、大会を企画している団体や企業、参加チームに対してもPUBG JAPANは支援も行っていく計画。マーケティングの手段としてだけでなく、ひとつの文化、ひとつの産業として「PUBG」を用いたeスポーツをパートナーとともに育てていく意向だ。

 具体的な支援策としては、例えば選手やチームに対しては、国内チームロゴの入ったアイテムやスキンを販売し、その利益を分配するといった計画があるという。大会に参加するトッププレーヤーたちがプロ選手として自立できることを同社は目指している。

PUBG JAPANはチームロゴが入ったスキンなどのアイテムをゲーム中で販売し、その利益を分配することなどでトッププレイヤーの自立を支援するとのこと
PUBG JAPANはチームロゴが入ったスキンなどのアイテムをゲーム中で販売し、その利益を分配することなどでトッププレイヤーの自立を支援するとのこと

 また明日から開催されるPJSでは、特定チームだけを密着して追うオブザーバーカメラを用意し、ファンがチームを今まで以上に応援できる施策を打つことも井上氏によって発表された。ユニークなのは、このチームオブザービングに関しては、全面的にミラー配信も許可する方針であるという点だ。

 実況者を目指す人、実況によって「PUBG」を盛り上げたいと思っている人に対してトップチームの公式実況配信者としての道が開かれると同社は考えている。このようにeスポーツを取り巻く幅広い環境に対する支援を通じて、eスポーツ文化の振興と活性化を考えている。そのためにもより多くの企業からの協力が必要であると呼びかけ、「2019年もドン勝だ!」と井上氏はスピーチを締めくくった。

 プロ選手、チームだけでなく、配信者や興行を企画するイベンターに対しても幅広く支援するというPUBG JAPANの方針は、非常に画期的であると言えるだろう。PC版の「PUBG」はもちろん、スマートフォンで楽しむ「PUBG MOBILE」も高い人気を誇る現在、日本においてもeスポーツを巡る状況が大きく変化する可能性を秘めている。明日からのPJSをはじめ、2019年以降は、「PUBG」こそがeスポーツにおけるムーブメントの柱となるのかもしれない。

PUBGブースには「PUBG MOBILE」の試遊コーナーが作られている。試遊した人に配られる「PUBG」特製ステッカーはファンの必携アイテム
ゲーム中最強のヘルメット「スペツナズヘルメット」をつけて記念写真を撮影してもらえるフォトスポットも
ゲーム中最強のヘルメット「スペツナズヘルメット」をつけて記念写真を撮影してもらえるフォトスポットも

(文・写真/稲垣宗彦)

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