東京ゲームショウ2018の会場となった幕張メッセのイベントホールでは9月20日、「グローバル・ゲーム・ビジネス・サミット」を実施。「日本発グローバル・ヒットタイトルに学ぶ、国産ゲームが世界で勝つ方法~いまどきの海外向けマーケティング、開発、プロモーションの戦略とは?~」と題してパネルディスカッションを行った。海外でも通用するゲームタイトルを生み出すには何が必要とされるのかをテーマに、実際にグローバルにヒットしたタイトルを生み出した3人が成功体験を語り合うというもの。ポイントは企画なのか、開発プロセスなのか、それともマーケティング戦略なのか――。

 1人目のパネラーは、カプコン『モンスターハンター:ワールド』のプロデューサーである辻本良三氏。辻本氏は「プレーヤーの本能的な感覚は全世界共通」だと言う。グローバルを意識して「タイムアタック大会」を海外でも開催するなど、さまざまな取り組みをした結果、旧作では30%程度だった海外プレーヤーの比率を、一気に70%超まで引き上げることに成功。『モンスターハンター:ワールド』の出荷本数は、カプコン史上最高となる1000万本を突破したという。

カプコン「モンスターハンター:ワールド」プロデューサーの辻本良三氏
カプコン「モンスターハンター:ワールド」プロデューサーの辻本良三氏

 2人目のスクウェア・エニックス『NieR:Automata(ニーア:オートマタ)』のプロデューサー・齊藤陽介氏は、「マーケティングにおける戦略はない」としながらも、「開発においては何もしないわけではない」と話す。世界に通用するキャラクターデザイナー・吉田明彦氏を起用し、アクションゲームでは世界屈指の「プラチナゲーム」に開発を委託するなどして海外での認知度を上げた。

スクウェア・エニックス「NieR:Automata」プロデューサーの齊藤陽介氏
スクウェア・エニックス「NieR:Automata」プロデューサーの齊藤陽介氏

 3人目のパネラーは、コーエーテクモゲームスの『仁王』のディレクター・安田文彦氏。『仁王』は制作発表から発売までに10年以上かかっており、「α体験版」「β体験版」「最終体験版」を経て発売に至ったという経緯がある。それらの体験版のフィードバックを開発に反映し、満足度の高いコンテンツを世に出したことがグローバルなヒットにつながったと安田氏はみているようだ。

コーエーテクモゲームスの「仁王」ディレクターの安田文彦氏
コーエーテクモゲームスの「仁王」ディレクターの安田文彦氏

 日経BPが行った調査によると、海外ユーザーが日本製のゲームについて最も不満に思っているのはUI(ユーザーインターフェース)だという。パネルディスカッションでは、3人のパネラーがUIについての対策、改善策をそれぞれ提案し、日本製ゲームが世界で戦うには何が必要かについても話し合った。

パネルディスカッションの様子。モデレーターを務めたのは日経クロストレントの降旗淳平副編集長
パネルディスカッションの様子。モデレーターを務めたのは日経クロストレントの降旗淳平副編集長

(文/堀井塚高、写真/稲垣純也)

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