アップルは2018年8月25日、関西地区では2つめの直営店となる「Apple京都」を開店する。グランドオープンに先駆けて実施されたメディア向けのプレビューイベントを取材した。
Apple京都のロケーションは京都中心の繁華街、四条通りに面して建つ商業施設「京都ZERO GATE」の中。1階から3階までの3フロアで展開する。営業時間は月曜日から日曜日、午前10時~午後21時まで。
ロゴには“格子”模様をデザイン
京都の街は、上空から見渡すと何本もの道が縦横に交わる“格子”のように見えることから、Apple京都のストアロゴには格子状の模様をあしらった。アップルはこのストアロゴに、「古の時代からアイデアと創造力が格子のように交わって、新しい文化を生み出し続けてきた」京都という街に、次の想像力の源となる場所としてApple京都を立ち上げるという思いを込めたようだ。
Apple京都が入居するビルのデザインは行灯(あんどん)にインスパイアされたものという。日が暮れると店内の照明が擦りガラス越しに淡く灯る様子がいかにも雅で古都・京都らしい。
Apple京都のメディア向けプレビューイベントには、米Appleからシニア・マーケットディレクターのデニー・トゥーザ氏が駆けつけた。トゥーザ氏はスピーチの中で、新しい直営店の場として京都を選んだ理由を次のように説明した。
「京都は日本独特の文化が生まれ、世界に向けて発信される都市としてあまりにも有名。アップルは日本に次世代のストアをオープンする場所として、長年京都に注目してきた。京都ではたくさんの優れたアーティストやiOSデベロッパーが活躍しているし、日本を代表する学校も数多く集まっている。Apple京都は文化都市としての街の発展に貢献していきたいと思っているし、私たちも多くのひらめきをこの街に与えてもらえると期待している」。
また、トゥーザ氏は「日本はアップルにとって特別な国」であると強調し、今後も日本のコンシューマーとのタッチポイントを増やすための大規模な戦略的投資をしていく考えを示した。国内で直営店をコンスタントに立ち上げる構想については、4月にオープンした「Apple新宿」のプレス向けプレビューイベントでも言明しており、年内にも新たなAppleストアが日本のどこかの街にできるかもしれない。
100人以上のスタッフをそろえ、12言語をカバー
Apple京都には他の直営店と同様、最新のiPhoneやiPad、Apple Watch、MacBook、関連するアクセサリーをそろえた。店内ではスタッフのアドバイスや説明の下、ユーザーが「欲しいもの、やりたいこと」に最も適した製品を見つけられるようにする。
トゥーザ氏によると、Apple京都のスタッフは100人以上。その多くは、国内の他店舗、オランダのアムステルダムや米国のマイアミ、ニューヨークといった都市のAppleストアで長年経験を積んだベテランだという。「すべてのスタッフで世界の12言語がカバーできる」(トゥーザ氏)というのもApple京都の特徴だ。
国内初、BtoB向け専用スペースを設置
さらにApple京都には、日本国内の他店舗に先駆けて、法人・文教系のビジネスパートナー向け専用スペース「ボードルーム」を設置した。ここは、2017年に米国のクパティーノにオープンした新本社「アップル・パーク」にある同名の会議室のコンセプトとインテリアを再現。地域でビジネスに携わる人々や教育関係者とアップルのコラボレーションが生まれる場所として期待をかける。
Appleの広報担当者によれば、このようなビジネスパートナー向けのボードルームを直営店に設ける例は世界的にもまだ少ないという。トゥーザ氏はApple新宿のプレビューイベントで、既存のAppleストアのリノベーションを積極的に進めていく考えを示しており、BtoB向けのビジネスをさらに加速・強化するための土台として、各ストアに同様のボードルームが新設される可能性もありそうだ。
無料イベント「Today at Apple」にも“京都らしさ”を
Apple京都では、アップルの製品とサービスを活用したアートやデザイン、写真・動画編集、プログラミングなどのテクニックを学べる無料のプログラム「Today at Apple」を毎日開催する。
オープン初日の8月25日に予定している「Music Lab」では、英国のミュージシャンのフローレンス・ウェルチ氏と共同開発した独自のサウンド製作のワークショップを実施。開店後、最初の日曜となる8月26日には米国で活躍する写真家チェイス・ジャービス氏によるフォトテクニックのセッション「Photo Lab」も予定している。Apple京都の「Today at Apple」の詳細はアップルのWebサイトで確認できる。
Appleのトゥーザ氏は前述のスピーチで、「モダンと伝統の両方を取り入れて創作活動を展開する地域のデザイナーやアーティストの力を借りながら、Apple京都を賑やかな場所として盛り上げていきたい」と意気込みを語った。
グランドオープンの日には記念グッズの配布を予定
Apple京都が8月25日午前10時にオープンする際には、初日限定で配布する記念グッズのTシャツを用意しているようだ。今年4月にApple新宿が開店した日には、朝早くから1000人を超える来店者の列ができた。Apple京都に来店する人は早めに足を運びたい。
(文/山本敦)