一層のシェア拡大には全方位戦略が必要に

 だがどんなに優れた価格競争力を持つとはいえ、スマートフォン以上のコモディティー化と低価格競争が進み、大手メーカーの撤退も相次ぐパソコン市場で、高い利益を出すのは難しいだろう。それだけに、ファーウェイがパソコン市場にあえて参入するのには、純粋なビジネスだけでない、別の理由もあるように思える。

 元々モバイル通信機器ベンダーであるファーウェイは、スマートフォンからタブレット、ウェアラブルデバイスなど、モバイル通信と関係が深いスマートフォンを起点としてデバイス事業を拡大してきた。それゆえモバイル通信の分野と近い関係にあるものの、パソコン市場には縁が薄かった。そのファーウェイがこのタイミングでパソコン市場に参入したのには、ファーウェイのデバイス事業を一層拡大するべく全方位戦略を取ると判断をしたためと考えられる。

 ファーウェイは現在、スマートフォンの世界市場でサムスン電子、アップルに続く3位の座を獲得しているが、中・低価格帯のモデルが主力である上、デバイス事業が急速に伸びたのもここ最近のことであるため、まだブランド力が弱い。そこでファーウェイは最近、世界規模で積極的なプロモーションを展開したり、高価格帯のスマートフォンの販売を強化して高級感を打ち出したりしてブランド価値を高めようとしている。

6月に発表された「Huawei P9」でライカと共同開発を実施したのにも、カメラ性能の向上だけでなく、ライカのブランドを活用し端末の高級感を打ち出す狙いがあるようだ
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 そんなファーウェイがブランドを向上させる上で、欠けていたパーツがパソコンである。アップルやサムスンはスマートフォンやタブレットだけでなくパソコンも手掛けており、コンシューマー向けITデバイスで全方位的な接点を持っている。だがファーウェイは元々パソコン事業との関連性が高くなかったことから、これまでパソコンを提供する必然性も薄かった。

 しかしながら両社に匹敵するブランドとシェアを目指す上では、スマートフォンやタブレットに注力するだけでなく、パソコンも提供することで、ユーザーとの接点を拡大し、ブランド認知を進める必要がある――こう考えて、縮小傾向にあるパソコン市場に打って出たといえそうだ。