Bluetooth発信機で猫を見つけるのに越えなければならないハードルは、電波の届く距離だ。

 既存の忘れ物タグは、予想外に電波の届かないものが多いという。「2000~3000円で売られている製品は、我々が試した限りでは15~20メートル離れただけで電波を拾えなくなったものもあります。これでは動物を探すわけにはいきません」(寺田CTO)。

 実は、ねこもにの開発途中でも同様の問題に直面した。テストしてみると電波が予想外に届かないと判明したのだ。そこで発売時期を当初の4月から6月に遅らせて発信機の仕様を変更し、電波の出力を大幅に上げた。製品版では実測値で75メートルまで電波が届く。短距離通信向けがほとんどのBluetoothデバイスでは異例の通信距離と言えるだろう。

猫を見つけやすいUIの工夫

 猫を探しやすくするために重視したもう一つの点は、スマホアプリのユーザーインタフェース(UI)の分かりやすさだ。

 開発中のバージョンでは、様々な情報を表示するようにしていた。特徴的なのは、画面の左上に矢印を表示してユーザーに進むべき方向を示す機能だ。矢印の方向に進めば、より多くの情報を取得でき、猫を見つける確率を上げられるというものだ。

2017年3月時点でのアプリ画面。左上の赤い矢印でユーザーの進むべき方向を知らせる。(出所:オープンストリーム)
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 ただ、これには課題があった。最も大きい課題は、実際の建物や地形の情報を反映できないことだ。電波の情報のみで進行方向を決めるため、矢印の示すほうに障害物があって進めない状況も発生する。

 フィールドテストなどを重ねた結果、ユーザーが周囲の状況を把握しながら、アプリが表示する確率の高いエリアを手掛かりに、自身で進行方向を決めるのが分かりやすく、使いやすいことが分かった。そこで矢印の表示は廃止した。

 また開発中のアプリでは猫のいそうな場所を示すメッシュのサイズが10m四方だったのを、製品版ではアルゴリズムの改良などで2mまで細かくした。さらに確率の高さを色で示すことで、直感的に分かりやすくした。

 もう一つ工夫したのが、電波を受信したことを示すグラフを画面右下に置いた点だ。ねこもにで猫を探すのにまず必要なのは、最初に電波をキャッチすること。75メートル以上離れていると、そもそも電波が届かない。そこで猫がいそうな家の周囲を飼い主が歩き回って電波を探すのだ。