撮影の際もファインダーがブラックアウトせず、なめらかに表示し続ける

 α9は単に静かに撮影できるだけでなく、連写中もファインダーの表示が黒く消えずに表示し続ける「ブラックアウトフリー」なのも特徴だ。一眼レフでは、シャッターを切ってミラーが上がり、撮像素子に露光している間はファインダーの表示がブラックアウトして見えなくなるので、素早く動く被写体を追いかけるのが難しくなる。従来のミラーレス一眼も、撮影直後はブラックアウトが発生してしまう。

 だが、α9は高速連写中でもまったくブラックアウトすることなくファインダーや液晶パネルにライブビューが表示され続けた。連写中も表示がカクカクとぎこちなくなることはなく、秒60フレームのなめらかな表示が続いたのには驚かされた。

秒20コマの高速連写をしているところ。シャッター音がまったく聞こえないばかりか、ライブビューがなめらかに表示され続けているのが分かる。このα9は、撮影時に枠が出るように設定しているが、何も表示せずに撮ることも可能

 前述の静音撮影の効果もあって、あまりに撮影している感覚に欠けるので、撮影していることを意図的に表現する機能を用意している。設定により、枠や四隅のマークで撮影したことを表す表示をファインダーやライブビューに表示できるほか、撮影時に一瞬画面がブラックアウトするようにもできるのが何ともいえず面白い。

 ちなみに、マウントアダプター「LA-EA4」経由でAマウントの交換レンズを搭載した際も、静音シャッターやブラックアウトフリーの効果は得られる。制約は、連写速度が最大10コマ/秒に落ちてしまうことだけだ。

プリキャプチャー機能がないことだけが惜しまれる

 積層型CMOSの優れた高速データ転送性能やバッファー用メモリーを備えていることを考えると、シャッターを切った瞬間の直前の写真を記録するプリキャプチャーの機能はぜひ欲しかったところ。オリンパスの「OM-D E-M1 Mark II」は「プロキャプチャーモード」という名称で搭載しており、シャッター全押しの直前の14コマをさかのぼって記録できる。野鳥や野生動物などのネイチャーフォト派に高い評価を受けており、同種の機能がα9にも搭載されれば完璧といえただろう。

 α9の予想実売価格は50万円前後とかなり高価だが、各社のプロ向けデジタル一眼レフはどれも60万円以上するので、メーンターゲットとなるスポーツカメラマンにとっては魅力的な存在になるはずだ。一般の写真趣味層にとってはオーバースペックな部分もあるものの、まったくの無音で撮影できる点はライブ撮影やネイチャーフォトの愛好者にとっては唯一無二の存在となるはず。ハイアマチュア層にとっても見逃せないカメラとなりそうだ。

(文/磯 修=日経トレンディネット)