【鹿野カメラマン:第3位】キヤノン「EF16-35mm F2.8L USM III」

 3位に選んだのは、キヤノンの「EF16-35mm F2.8L USM III」だ。1位で広角ズームを選んだのに、また広角ズームかよ……という感じで恐縮なのだが、素直に選んだらこういう結果なのでご容赦を。キヤノンEFマウントの広角ズームは、高校生の頃に初代の「EF20-35mm F2.8L」をバイト代で購入して以来、すべて試して(そして結果次第で購入して)きた。そのため、新顔が現れると試さずにはいられず、そして試した結果が実によかったのである。

キヤノンが2016年10月に発売した広角ズームレンズ「EF16-35mm F2.8L USM III」。実売価格は22万5000円前後
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 キヤノンの広角ズームをすべて試しているのは、決して広角が好きだからではなく、なかなか性能に満足できないから。ここ数年に発売された「EF11-24mm F4L USM」や「EF16-35mm F4L IS USM」はさすがLレンズと思わせる描写なだけに、フラッグシップともいえるF2.8Lが2007年発売のII型のままなのは、いささか残念な気もしていた。II型も初代(2001年発売)に比べればかなり画質がよくなっていたが、価格に見合う性能かというと疑問があった。

 それだけに、このIII型も「大丈夫なの?」と疑いながら実写してみたのだが、見事なまでにII型での不満が解消されていた。最たる部分は周辺部の描写で、III型は絞り開放でもびしっとしていた。EOS 5Ds/5DsRのような超高画素機を発売しておいて、その後に出すLレンズがお粗末ということはさすがにないとは思っていたが、ここまでよく写るとは……という印象だ。

 僕個人は、開放F4通しの「EF16-35mm F4L IS USM」を所有していて、その写りにはとても満足しているのだが、実売価格はこのIII型と比べれば約半分。価格差を考えるとF2.8のアドバンテージが小さくも感じるが、一眼レフでは明るさの違いがファインダーの見え具合(明るさ)に直結する。広角レンズは室内で使うことも多く、画角の広さゆえに写り込むものも多くなりがち。ファインダーが明るいと視認性もアップし、撮影がしやすくなるし、何より気分も高まってくる。初代やII型のユーザーは買い替えて損はないだろう。

絞り開放からくっきりシャープだが、F8まで絞るとキレキレに。階調表現も豊かで、さすがLレンズの面目躍如といったところ(EOS 5D MarkIV使用、ISO200、1/60秒、F8、16mm)
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鹿野貴司(しかのたかし) 写真家
氏名 1974年東京都生まれ。雑誌や広告のほか、カメラ・レンズのカタログなど、幅広い撮影を手がける。現在は日本一人口の少ない町・山梨県早川町の全町民を撮影、一冊の写真集にまとめるプロジェクトを進めている。仕事でデジタルを使い倒す一方、フィルムをこよなく愛し、ハッセルブラッドやローライフレックスで作品を撮り続けている。個人ブログは「とれどれぐさ」。