2019年春、日本にクリムト旋風が到来する。没後100年の18年に、世界のあちらこちらで展覧会が開かれ、人気の高さを示した世紀末のスター画家の名品が、東京にやって来る。その絢爛美の秘密を解き明かそう。

グスタフ・クリムト『オイゲニア・プリマフェージの肖像』
1913/14年/油彩、キャンバス/豊田市美術館蔵 ※「クリムト展 ウィーンと日本1900」にて展示
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 「どの美術館でもクリムトは『箱入り娘』。貸し出しはフェルメール並みに困難です」と成城大学名誉教授の千足伸行さん。世紀末ウィーンを代表する画家の名品が2019年4月、東京の2つの美術館で、ほぼ同時期に展示される。特に『クリムト展』では油彩20点以上が集まり、質量共に、またとない展覧会となる。

 金地をふんだんに使った絢爛美。退廃的なエロスを振りまく女性たち。「黄金様式」の時代と呼ばれる最盛期の作品群も数多く見られる。

【SECRET 1】 お金持ちに引っ張りだこ。売れっ子肖像画家

 経済が急成長した19世紀末のウィーンに居を構えたブルジョアジーの婦人たちに、クリムトは人気の肖像画家だった。「リアルに描かれた顔と、工芸品的な装飾美が凝らされた服や背景。独特の退廃美は封印しつつも、クリムトならではの斬新な肖像画です」(千足さん)。

【SECRET 2】 黄金へのこだわりは永遠性への憧れ

 クリムト作品の魅力の一つである、金をふんだんに用いた表現。イタリア・ラヴェンナへの旅で出合ったビザンティン時代のモザイク画に、感銘を受けたことがきっかけとなった。「輝きを失わない金を使うことで、時と場所を超えた永遠性を表しています」(千足さん)。

【SECRET 3】 恋多き人生、本命とはプラトニック?

 生涯未婚を通したクリムトは多くの女性と浮名を流し、死後には子供の父親がクリムトであるという訴訟が複数起こされたほど。一方、クリムトが30歳前後に出会い、亡くなるまで生涯のパートナーだったエミーリエ・フレーゲとはプラトニックな間柄だったという説も。

【特別展】クリムト展 ウィーンと日本 1900
2019年4月23日~7月10日
東京都美術館
2019年7月23日~10月14日
豊田市美術館

【日本・オーストリア外交樹立150周年記念】
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
2019年4月24日~8月5日
国立新美術館
2019年8月27日~12月8日
国立国際美術館

(アドバイザー/千足伸行さん(成城大学名誉教授、広島県立美術館館長)、
本橋弥生さん(国立新美術館 主任研究員))

「詳しい情報を知りたい方は、日経おとなのOFF 2019年1月号誌面でどうぞ。」