2016年10月の発売から約1年、いまだに店頭では入荷するや完売状態が続くソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PlayStation 4」向けVR用ヘッドマウントディスプレー「PlayStation VR」(以下、PS VR)。東京ゲームショウでも「Project Morpheus(プロジェクト・モーフィアス)」として開発中だった時代から毎年、話題を席巻してきた。

PS VR試遊コーナーの様子。一般公開日は13時までが一般の試遊時間(ブースで整理券を配布)で、13時からは事前予約した「PlayStation Plus」加入者の試遊時間となる
PS VR試遊コーナーの様子。一般公開日は13時までが一般の試遊時間(ブースで整理券を配布)で、13時からは事前予約した「PlayStation Plus」加入者の試遊時間となる

 今年もソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA)のブースには、PS VR試遊コーナーが設けられている。ハード自体が発売直前だった昨年に比べると規模は20台から10台へ縮小したものの、発売前の注目タイトルをずらりと並べて注目を浴びている。

『グランツーリスモ SPORT』を試遊する様子。ステアリングやブレーキ、アクセルなど、入力装置がそろっていて楽しい
『グランツーリスモ SPORT』を試遊する様子。ステアリングやブレーキ、アクセルなど、入力装置がそろっていて楽しい

 今年のPS VR試遊コーナーで体験できるのは『グランツーリスモ SPORT』(SIE)、『V!勇者のくせになまいきだR』(SIE)、『Bravo Team』(SIE)、『The Inpatient-闇の病棟-』(SIE)、『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード(基本ゲームパック)』(バンダイナムコエンターテインメント)、『MONSTER OF THE DEEP:FINAL FANTASY XV』(スクウェア・エニックス)、『The Elder Scrolls V : Skyrim VR』(Bethesda Softworks)、『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS』(コナミデジタルエンタテインメント)の8タイトル。

サマーレッスンは、お嬢様に手品の相手をさせられるシチュエーション。顔が近くてのけぞってしまったり
サマーレッスンは、お嬢様に手品の相手をさせられるシチュエーション。顔が近くてのけぞってしまったり

 実際にPS VR試遊コーナーを回ってみると、VR体験の楽しさや個々のゲームの面白さはもちろん、コーナーに並んだタイトルの多彩さに感心させられる。レースにホラー、シューティング、美少女、RPG、アクション、釣り……とジャンルかぶりがまるでないラインアップが実現している。ハード発売から1年が経ってソフトの拡充が進んだPS VRの状況をそのまま映し出しているようだ。

勇なま登場でVRゲームの広がりを実感

 個人的には、『V!勇者のくせになまいきだR』(以下、勇なま)が新鮮だった。本作は、プレーヤーが「破壊神」となって「魔物」を繁殖させ、「勇者」を倒したり、勇者たちの城を攻め落としたりして遊ぶリアルタイムストラテジー。RPGでおなじみのフィールドを、ジオラマでも見るように俯瞰でき、プレーヤーの左に魔王(CV: 関智一)、右にはムスメ(CV: 小清水亜美)が立ってアドバイスをくれるので、魔界の愉快なお友達とボードゲームを楽しんでいるような気分で遊べる。

勇なまの試遊コーナー。2台が用意されている
勇なまの試遊コーナー。2台が用意されている

 基本的には斜め上からフィールドを眺めるので(視点切り替え可能)、世界を手のひらの上で動かしているかのような“悪い”全能感が味わえるし、VR酔いなどとも無縁だ。PS 4のゲームコントローラーがVR映像では「神コン」という魔界風(?)デザインになって、より多機能なユーザーインタフェースに早変わりするのも、「破壊神」気分を盛り上げてくれる。

フィールドを見下ろしながら遊ぶ。VRゲームには珍しい眺めだ(C)Sony Interactive Entertainment Inc.
フィールドを見下ろしながら遊ぶ。VRゲームには珍しい眺めだ(C)Sony Interactive Entertainment Inc.
手に持ったPS 4のコントローラーが「神コン」に早変わり(C)Sony Interactive Entertainment Inc.
手に持ったPS 4のコントローラーが「神コン」に早変わり(C)Sony Interactive Entertainment Inc.

 いわゆるホラーやアクション、美少女といったVRといかにも相性のよさそうなゲームとはまた違った方向でVRを生かしているのが、この勇なまといえそうだ。一つ“ひねり”を加えたこのタイプのソフトの登場が、VRゲームの質的な広がりに拍車をかけていくのかもしれない。

直感的に操作でき、15分程度の試遊で城を一つ攻め落とせる(C)Sony Interactive Entertainment Inc.
直感的に操作でき、15分程度の試遊で城を一つ攻め落とせる(C)Sony Interactive Entertainment Inc.
ゲームの性質上、試遊しても、あまり派手なリアクションは生まれない
ゲームの性質上、試遊しても、あまり派手なリアクションは生まれない

(文・写真/赤坂麻実)

この記事をいいね!する