世界中で加速しているシェアリングエコノミー(共有経済)。現在私が定住旅行(現地の家庭に滞在しながら、生活を体験し、文化や習慣生き方を配信する活動)している欧州のスペインでもその波は大きく広がっている。スペインの首都マドリードでは、交通手段としての乗り物のシェアリングエコノミー事業が拡大しており、人々の生活に定着しつつある。その乗り物は主に、車、バイク、自転車、そして数カ月前に新しく導入されたばかりのキックスケーターだ。 

 マドリードの市民が移動をするときに必ずと言っていいほど利用するアプリがある。それが、「Citymapper(シティーマッパー)」だ。現在地と目的地を入力すると、目的地までの所要時間やコスト、ルートが、バス、メトロ、シェアバイク、カーシェア、Uberなどのさまざまな方法ごとに検索される、とても便利で経済的なアプリである。このアプリさえあれば、どの方法が最速か、安上がりかなどが一目瞭然だ。

街中で見かける電動キックスケーター
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メトロカードを読み込めればすぐに使える
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交通手段をあらゆる方法から一瞬で調べられるアプリ「Citymapper」
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ZITYのカーシェアのアプリ
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 シェアリングサービスの中でも最初に始まり、1番利用者が多いのがカーシェア。4~5年前に街に導入されて以来、多くの人たちに日常的に利用されている。BMWやシトロエンなどの4~5社の自動車会社によって運営され、所有台数は各社約200台だ。「car2go」や「emov」などのアプリケーションを使って、簡単に空いている車と位置の確認、支払いができる(毎分約25セント加算)。

 自家用車ではなく、カーシェアを利用するメリットをヘビーユーザーに聞いたところ、「カーシェアのクルマは全て電気自動車で、無料でどこでも駐車できる。例えば、市内にあるZona Verde(緑区)という居住区は、駐車場を契約すると毎年税金を払わなくてはならないうえ、古い車だと排ガス規制で入れないこともある。そういう煩わしさがないので、便利」とのことだ。

 自動車の次に利用が多いのは自転車である。マドリード市内には、多くの自転車専用レーンが設けてあり、車道と並行して走行できる。自転車シェアもさまざまな会社が運営しているが、ほとんどの市民が利用しているのが、役所が運営する「Bici MAD(ビシ・マッド)」。私も実際に利用してみた。マドリード市内には、Bici MADの駐輪場が160カ所設置されており、メトロカードと兼用できる。利用料は年間25ユーロだが、1回単位の利用も可能だ。

 こうしたシェアリングサービスを日本で利用したことがなかった私。初めて乗った自転車は、なんとチェーンが緩んでいて使い物にならず、即座に返却して別の自転車に乗り換えた。バイクシェアの自転車は全て電動で、早く走ろうと思えば車並みのスピードが出る。車道を走らなければならない道もあったが、自転車専用レーンだと非常に走りやすくて快適だ。唯一の難は、電動自転車が思った以上に重いこと。万が一倒れたときに起こすのが女子には厳しい気がしたが、そんなときは優しいスペイン人がすぐに手を差し伸べてくれるに違いない。

ほとんどペダルを踏み込まなくていいほど軽くこげる電動自転車
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