当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2016年10月13日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

「不肖・宮嶋」、宮嶋茂樹さんの写真展へ行ってきた

 六本木の東京ミッドタウンで開催中の「不肖・宮嶋」こと、写真家の宮嶋茂樹さんの「不肖・宮嶋写真展『70年』 (Shigeki Miyajima 70th anniversary)」に行ってきた。第2次世界大戦から70年たった今の、フランス、ロシアなどヨーロッパ、日本を含む中国、台湾など、世界各地の人々の微細な表情から、それぞれの“先の大戦の意味”が、写真と対話しているうち、じんわり伝わってくる。

 優れた作品は、そんなコミュニケーションのチャンスを与えてくれる。

 宮嶋さんに最初にお目にかかったのは、もう随分昔。「プレステージ」という深夜の討論番組でのことだった。若き前途有望な日本の報道カメラマンたちが集結。「20世紀を代表する戦場カメラマン、ロバート・キャパを語ろう」というマニアックなテーマで激論が戦わされた。そのメンバーの1人が宮嶋さんだった。

 キャパとは、どんな人物なのか?

 第2次世界大戦の戦場を舞台に活躍。その後、北ベトナムでの取材中に地雷で命を落とした以外の知識を私は持ち合わせていなかった。報道カメラマンについてこれほど無知な私が、どうにか進行できたのも宮嶋さんのおかげだった。

 論客たちの会話は、熱を帯びれば帯びるほど、深く、難解な方向に流れがちだ。ものの分かった視聴者には、それこそがたまらなく面白いというのに教養ゼロの私の顔には「?マーク」が誰の目にもはっきりと映ってしまった。

 そんな状況をいち早く察知した宮嶋さんは、気さくな調子の関西弁で、「不肖・宮嶋の解説ですからあまりあてにせんでほしいんですが……」と、折々にさりげなくフォローしてくださった。

 宮嶋さんの「絶妙の通訳」は、視聴者にも好評だった。そのおかげもあって、“難しいテーマ”にもかかわらず視聴率は思いの外高かった。