当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2015年6月4日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

中高年に耳なじみのないアクセントが公共放送で流れる

 NHK総合の『ブラタモリ』が「鎌倉観光」をテーマに放送していた。

 歴史ある和菓子屋さんで名物「力餅」を見つけた若い女性アナウンサーが目を輝かせタモリさんに声をかけた。

 「これ食べたくないですか?」

 流れとして申し分のないやり取りだが、彼女のアクセントに「?」と思った(アクセントの表記:低い音はそのまま、高める音は< >で囲んだ)。

 「これ食べたくないですか?」

・伝統的なアクセント → これた<べた>く<な>いです<か?>
・彼女のアクセント → これ<たべたくな>いです<か?>

 <たべたくな>部分を「音の上げ下げ無し」の平板にする「今風アクセント」を笑顔で口にする彼女。

 「?」とご不審の方に参考となる資料をご覧いただこう。NHK放送文化研究所の『最近気になる放送用語』で「白くない?」について、「首都圏の若者を中心に、従来とは違ったアクセントが広がっている現実」が報告されていた。

・伝統的なアクセント → し<ろ>く<な>い?

 音の上げ下げをしながら、最終的に語尾は上げる。中高年に耳なじみなのはこれだ。

・最近気になるアクセント → し<ろくない?>

と語尾まで一直線に上げていく。

 話しはじめの「し」を低く出したあと、残り<ろくない?>の全てを高く平板に、しり上がりな調子で発する「若者流アクセント」に、2000年当時の研究者は「アクセントの揺れ」を発見し、調査した。