中高年に耳なじみのないアクセントが公共放送で流れる
NHK総合の『ブラタモリ』が「鎌倉観光」をテーマに放送していた。
歴史ある和菓子屋さんで名物「力餅」を見つけた若い女性アナウンサーが目を輝かせタモリさんに声をかけた。
「これ食べたくないですか?」
流れとして申し分のないやり取りだが、彼女のアクセントに「?」と思った(アクセントの表記:低い音はそのまま、高める音は< >で囲んだ)。
「これ食べたくないですか?」
・伝統的なアクセント → これた<べた>く<な>いです<か?> ・彼女のアクセント → これ<たべたくな>いです<か?>
<たべたくな>部分を「音の上げ下げ無し」の平板にする「今風アクセント」を笑顔で口にする彼女。
「?」とご不審の方に参考となる資料をご覧いただこう。NHK放送文化研究所の『最近気になる放送用語』で「白くない?」について、「首都圏の若者を中心に、従来とは違ったアクセントが広がっている現実」が報告されていた。
・伝統的なアクセント → し<ろ>く<な>い?
音の上げ下げをしながら、最終的に語尾は上げる。中高年に耳なじみなのはこれだ。
・最近気になるアクセント → し<ろくない?>
と語尾まで一直線に上げていく。
話しはじめの「し」を低く出したあと、残り<ろくない?>の全てを高く平板に、しり上がりな調子で発する「若者流アクセント」に、2000年当時の研究者は「アクセントの揺れ」を発見し、調査した。